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2014年10月19日 (日)

屋台のDNA (八)

 前々稿で,純蕎麦屋 (普通の蕎麦屋) と立食い蕎麦屋の営業形態上の違いは,店舗に厨房が有るか無いか (店内で蕎麦を茹でているか否か) だと書いた.
 次に,提供される蕎麦そのものについては,蕎麦つゆとトッピングに違いがある.蕎麦粉とつなぎの割合については,立食い蕎麦でも蕎麦粉の割合を高くしている店の例はあり,必ずしも「立食い蕎麦は灰色のうどんだ」とは言い切れない.

[ 蕎麦つゆ ]
 異論はあるかも知れないが,立食い蕎麦という食文化は,東海地方を東日本に含めて,東日本のものであるとして以下に考察する.JRの山陰山陽地方の駅にも蕎麦屋はあるが,食べたことがないので無視する.自分の知らないことは,なかったことにするのが正しい態度というものである.
 また東海地方は西日本なのか東日本であるのかというのはややこしい問題であるのだが,ややこしい問題は先送りにするのが私の人生であった.今回も,ごく簡単に触れるだけにしておく.

 東海地方は略して愛三岐という.小椋佳の作詞作曲になる味の素社のCMソングにして美空ひばり晩年の大ヒットであり,遺作『川の流れのように』と並んで昭和という時代に別れをつげる記念碑的名曲は『愛燦燦』である.似ているが愛三岐は愛知,三重,岐阜の三県のことだ.似てませんか.そうですか.

 では静岡県はどうなのか.愛三岐の県民に「東海地方の範囲は?」と訊ねると愛知,三重,岐阜だと答えるであろう.ところが静岡県民に同じ質問をすると静岡,愛知,三重,岐阜だと答えるだろう.愛三岐の県民は静岡県を東海地方のうちに入れていないが,ほとんどの静岡県民は静岡県は東海地方だと考えているのだ.
 しかし伊豆の,とりわけ東伊豆の人々はどうだろう.意識としては関東地方と同一化していると思われる.伊豆は東海地方だと言われると違和感を覚えるに違いない.
 浜松市を中心とする静岡県西部の人たちはごく普通に味噌カツを食うが,静岡市を中心とする静岡県中部で味噌カツのある食堂は滅多にない.それどころか静岡市民は,問い詰められれば静岡県は東海地方だというが,心底では自分たちを関東の人間だと考えているフシがあって,買い物や観劇に気軽に東京に出かける.それに,地図を描かせると東京の西に静岡県を描いたりする.神奈川県の立場はどうするのか,膝詰めで小一時間ほど説教したくなるくらいだ.

 それもこれも,江戸と尾張・三河に挟まれたところを一まとめに静岡県にした明治政府が悪いのだが,当の静岡県民は自分たちのアイデンティティに関わるこのややこしい問題を深く考えていない.ややこしいことは先送りにするのが静岡県民なのである.高校を卒業して以来,人生の半分を静岡県で暮らした私は,その県民性の影響を受けてしまったというわけなのである.
 で,蕎麦つゆのことはどうした.はあ.

(続く)

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