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2014年10月10日 (金)

蕎麦暗黒面

 立食い蕎麦屋が二極化したのはいつのことだったろう.昭和の終わり頃か.

 私が小諸そばに初めて入ったのは秋葉原の店だった.ここがいつ開店したか知らないが,私はPCパーツや真空管漁りをするときに,昼近くに秋葉原駅に着いてそのまま小諸そばに行き,腹ごしらえしてから電気街一帯を徘徊するのである.
 今は秋葉原駅周辺は飲食店が充実しているから,二人以上で連れだって買い物するのなら飯を食う店に困らないが,私の買い物徘徊は基本的に一人なので,昔も今も立食い蕎麦で済ませる.

 立食い蕎麦の二極化というのは,「(甲) 丼におばちゃんの親指が突っ込まれている上に,その丼の外側が蕎麦つゆで濡れているので客は手が汚れる」というタイプの店と,「(乙) 品物はトレイに載せて供され,客の手は汚れず,またセットものが充実している」の二極である.
 (甲) の特性としては,カウンターに蕎麦つゆでぐしょぐしょに濡れた台布巾がまるで罠のようにして置いてあるということも忘れてはならない.濡れた丼の底を拭こうとしてこの布巾を持つと,手を洗わねばならぬ事態になるのだ.
 (乙) ではそのようなことはない.もちろん小諸そばなどの「茹でたて蕎麦を提供」型は後者だ.

 いずれこの二者の比較研究は腰を据えて行うこととするが,それはさておき,伸びきった茹でおき麺で丼びしょびしょの (甲) 類立食い蕎麦が好きだという人もいるから,話は一筋縄ではなく,立食い蕎麦の闇は深い.

 昨日,留守宅を掃除しに,JRの中央線快速電車東京行に乗って中野駅に着いたら,車窓から北口の立食い蕎麦屋「かさい」が見えた.
 この蕎麦屋は私が中野や高円寺に住んでいた学生時代にはなかったから一度も入ったことはないが,駅のホームから見るに,どう見ても昔ながらの (甲) 類の店である.

 その日の帰りに週刊文春を買って読んだら,連載『この味』に,平松洋子さんが「かさい」でかき揚げ蕎麦を食った話を書いていた.それによると「かさい」は創業昭和四十八年だという.
 で,平松洋子さんはこれが初めての立食い蕎麦体験なんだそうだが,「かさい」の蕎麦をほめている.人生最初の立食い蕎麦が (甲) で,平松さんは蕎麦の暗黒面に落ちたのかも知れない.暗黒麺か.彼女がフォースと共にあらんことを.

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