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2014年9月13日 (土)

食中毒統計の謎

 日経,読売など各紙が,東京都千代田区麹町のカレー料理店「DIPMAHAL」で食事した男女八人の客が下痢や発熱など食中毒の症状を訴え,そのうち六人から腸チフス菌を検出したと発表した.(9/10)
 これは,その日のうちに Wikipedia【腸チフス】に記載された.

 Wikipedia はこの食中毒事件を《国が統計を取り始めた2000年以降初めての腸チフスよる集団食中毒》としており,新聞報道も同じであるが,この《国が統計を取り始めた2000年以降》の意味するところがわからない.これではまるで西暦2000年以前には食中毒に関する統計資料がなかったかのようではないか.

 というのは,我が国における集団食中毒の記録は明治以降から存在するが,特に食品衛生法が整備された戦後は,発生件数や原因について信頼できる統計データが蓄積されてきたはずだからである.その統計資料はどこにいってしまったのか.
 昔は腸チフスというのはありふれた食中毒だった.それなのに《国が統計を取り始めた2000年以降初めての腸チフスによる集団食中毒》などと書かれたら,我が国の食品衛生史について誤った印象を国民に与えることになりはしないか.
 もちろん一口に「統計」といっても方法論的に異なるものを同列に扱えないから,「厚労省が現在採用している集計解析方法による統計データが西暦2000年以降存在する」という意味なのであろうとは推察された.
 それで厚労省のサイトを閲覧してみた.
 ところが「食中毒統計資料」→「集計結果」→「結果の概要」というコンテンツには,なぜか1996年からのデータが掲載されているのであった.
 政府統計の総合窓口 e-Stat にも同じ資料が載っている.

 公表されている1996年から1999年までの統計資料と,新聞等が《国が統計を取り始めた》と書いている2000年以降の統計資料はどこがどのように異なるのか.
 「方法論的な違いはあるが同列に扱ってもよい」というなら,その詳細を知りたいと思ったのだが,「食中毒統計資料」には,「統計の概要」という項目の下に「統計の目的」「統計の対象」「統計の作成方法」「統計の沿革」「集計事項」の小項目があるが,どういうわけか「統計の沿革」だけが項目だけで中身の記述がないのである.
 麹町のカレー料理店で発生した食中毒事件のことから,はからずも厚労省の仕事のいい加減さを知ってしまった次第である.

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