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2014年9月20日 (土)

西部開拓豆料理

 テレビ映画『ローハイド』の放送開始が1959年だから,これをリアルタイムでみていた人は,その時に小学校低学年だったとしても既に還暦過ぎである.
 Wikipedia【ローハイド】にはこう書かれている.
 
英語の"rawhide" は、「ロウ(raw、生の)」+「ハイド(hide、皮)」、つまり「生皮(きかわ)」「生皮の鞭」「生皮の鞭で打つ」などを意味する言葉。ローハイドの主題歌では歌の合間に牛を追う掛け声と鞭音が鳴り響く。(当ブログ筆者による2019年11月7日付けの註;2014年9月20日時点ではこのように記述されていた)
 
 還暦過ぎの爺さんたちは昨日のことのように覚えているだろう.フランキー・レインの歌う主題歌 (作曲は超有名なアカデミー賞作曲家であるディミトリ・ティオムキン) では確かに「ピシィッ」という鞭音の効果音が大変に印象的であった.
 だから Wikipedia に《「生皮の鞭」「生皮の鞭で打つ」などを意味する言葉》と書かれていても仕方ないのではあるけれど,私の少年時代に『ローハイド』がリアルタイムで放送されていたときには,毎回の放送の冒頭で「ローハイドの意味は,カウボーイたちが穿くオーバーパンツのことだ」と言っていた.これは,団塊世代以上の年寄りたちは皆知っていることだ.
「鞭の音」という解釈はいつ頃生まれたのだろう.『ローハイド』は何度か再放送されたようだし,DVD が今でも販売されているから,それをみた若い人たちが,いつの間にか言い始めたことなのだろう.
 通販サイトらしいのだが《「ローハイド」話題あれこれ 》というコンテンツにも次のようにある.
 
題名の「ローハイド」が何を意味するかについては諸説ある。まず、“RAWHIDE”の語意としては生(raw)の皮(hide)、あるいは生皮で作ったものを意味するのだが、ここから、カウボーイたちが牛を相手にする時に身につけるcahpsと云うオーバーズボンのことだとか、そうではなくムチを指して云っているのだ、という説が現在、よく紹介されている。前者は日本初放送の当時に番組に伴って説明されていたらしく、確かに吹き替えでも「ローハイドを履いて…」と云った表現を聞くことが出来る。後者についてはムチを意味するゆえ“rawhide!”と叫ぶ主題歌の合間にその衝撃音が入っているのだと、なるほどと思える説明だ。
 
 どっちでも構わぬが,テレビ映画『ローハイド』のタイトルは,元々の意味は「カウボーイのオーバーパンツ」だったとここに書いておく.
 
(2019年11月7日付けの当ブログ筆者による註;この記事を書いた五年後の現在,Wikipedia【ローハイド】の記述は,折衷案的に次《 》のように修正されているが,「カウボーイのオーバーパンツ」という意味は「生皮」からの派生語であり,「生皮の鞭で打つ」も「生皮」からの派生語なのである.「カウボーイのオーバーパンツ」が「生皮の鞭で打つ」から派生するわけがない.
英語の"Rawhide" は、「ロー(raw、生の)」+「ハイド(hide、皮)」、つまり「生皮(きかわ)」「生皮の鞭」「生皮の鞭で打つ」などを意味するが、そこから派生してカウボーイ達のズボンの上から着用する革製のズボンカバーのことを指す言葉でもあり、この番組では初期にそのように説明されていた。そしてローハイドの主題歌では歌の合間に牛を追う掛け声と鞭音が鳴り響いている。 )
 
 さて,本題.
『ローハイド』にはウィッシュボーンという爺さんが登場する.(テレビの日本語吹替声優は永井一郎だった.波平の声のほうが有名かもしれない.今年一月に亡くなった)
 ウィッシュボーンはカウボーイたち御一行の料理係であるが,作れるものは豆料理だけで,毎日毎日豆を煮る.なにしろ開拓時代のアメリカ西部だから,食材は主に乾物か塩蔵物なのである.
 カウボーイたちも「また豆か」と言いつつ,真鍮の皿をカチャカチャいわせながら豆を食うのであった.
 問題はその豆料理が何であるかだ.あー誰がそんなことを問題にしているかというと私だが,私だけではない.こういう↓ブログ記事がある.
 
2013年01月26日
ローハイドのウイッシュボンじいさんと豆料理
さて、ウイッシュボンのおっさんが作った豆料理とは何でしょうか?
それは、2つあって、一つは、皿に盛った「ベークドビーンズ」、画面を直視していると入れ物が違うため解かるのですが、もう一つは「チリコンカーン」です。
ベークドビーンズは、大豆系の豆と塩漬けベーコンなどを一緒に炒めたような料理でその時手持ちの野菜も一緒に炒めていました。
チリコンカーンは、ローハイドのカウボーイ達にも割りと人気がある料理で、日本語で言うと「ひよこまめ」タマネギ、牛のミンチ肉、人参のみじん切りなどを一緒にして炊き出し、 チリソースとトマトピューレで味付けしたようなものです。

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20191020a  
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 上の画像は,リンク切れした場合に話が通じなくなると困るので,モニター画面のコピーを撮ったものである.
 また,こういうの↓もある.
 
2013年2月14日 (木)
いんげん豆と大豆
かつてローハイドというテレビ用の西部劇があり、その中で食事の場面と云うと毎回、豆料理だったという記憶があります。調べてみると、ローハイドの豆料理には二種類あって、一種類は「大豆」がベースのもの、もう一種類は「ひよこ豆」が主役。
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20191020b
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 画像は同じくリンク切れ対策である. 
 さて両者ともにカウボーイの豆料理は「大豆」と「ひよこ豆」であるという.後者は日付からすると前者の記事を下敷きに書いたものかも知れない.
 前者の記事は明らかに間違っていて,それは《ベークドビーンズは、大豆系の豆と塩漬けベーコンなどを一緒に炒めたような料理でその時手持ちの野菜も一緒に炒めていました》という箇所.
 料理をする人なら誤りはおわかりであろう.ベークドビーンズは大豆でも,ひよこ豆でもなく,インゲン豆 (主に白インゲン豆) の料理である.またチリコンカーンは,ひよこ豆ではなく,北米産赤インゲン豆や北米産ウズラ豆の料理である.
 Wikipedia【ベイクドビーンズ】の冒頭に「スクランブルエッグとともにトーストに乗せたベイクドビーンズ」と題した画像が載っているが,これは白インゲン豆であるし,記述中にも《缶に詰められて販売されるベイクドビーンズの多くは、インゲンマメ(英: Haricot beans)から作られる》と書いてある.
 白インゲン豆で小粒のものは遠目には大豆に見えなくもない.このブログ筆者は,テレビ画面でウィッシュボーンの煮た豆料理を見て,大豆だと思ってしまったのであろう.
 もっと詳しくいうと,日本から米国に大豆が伝播したのはペリーの黒船来航よりずっと後のことで,長期の試験栽培が実施された後に,広く栽培されるようになったのは二十世紀になってからである.しかも大豆は,最初は家畜の飼料として栽培された.次に大豆油の原料としても栽培されるようになったが,人間の食糧としては普及しなかった.大豆を食べる食文化は,二十世紀になって日本から伝播したものだ.従って西部開拓時代のカウボーイが大豆を食べるのは歴史的にあり得ないのである.
  
 で,特に理由はないが,『ローハイド』を懐かしんでいるうちに,ベークドビーンズを食べてみたくなった.
 Wikipedia【ベイクドビーンズ】によると,《(イギリスでは) 伝統的なベイクドビーンズのトップブランドとして、「ハインツ」はそれ自身がベイクドビーンズと同義で使われている 》とある.
 アメリカでは,《アメリカ合衆国では、Bush BrothersとB&Mがベイクドビーンズの製造元として良く知られている 》と書かれている.
 Amazon で探してみると,ハインツの缶詰はあるが,残念ながら Bush Brothers と B&M はみつからなかった.
 国産品の缶詰はアヲハタから出ている.商品名は「ポーク アンド ビーンズ」だが,使用している豚肉は無塩析ベーコンで,これはほんの少ししか入っていないので,実質的にはベイクドビーンズといっていい.

Baked_beans
 
【HEINZ BEANS】
[缶に表示されている原材料名]
白いんげん豆,トマトペースト,砂糖,醸造酢,食塩,増粘剤(加工デンプン),香辛料抽出物
 
【アヲハタ ポーク アンド ビーンズ】
[缶に表示されている原材料名]
いんげん豆,砂糖,トマトペースト,無塩せきベーコン,食塩,動物油脂,醸造酢,香辛料,酵母エキスパウダー,増粘剤(加工でん粉),調味料(アミノ酸)
  
 昨日,まずアヲハタのポーク アンド ビーンズをそのまま食べてみた.
 うーむ.カウボーイは我慢強かったことがわかる.これだけを食事として毎日食うには開拓者魂が必要である.
 しかし卵を目玉焼きにして皿に載せ,これにアヲハタのポーク アンド ビーンズ一缶を山のように付け合わせて,タバスコを振りかけて食ったら,これはいけた.
 今日はハインツの缶を開けるが,きっと同じようにすれば食べられるだろうと思う.
【関連記事】(本稿の続きです)
カウボーイとアルミニウム
幕末大豆 (一) 

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