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2014年9月 4日 (木)

昔ながらの (補遺)

 昨日の昔風ドーナツの記事中で『軍隊調理法』に少し触れたが,それについてもう一つ.

Wikipedia【軍隊調理法】
軍隊調理法は、大日本帝国陸軍が編纂・発行した料理の基礎と献立をまとめた教本。(以下略)》

 昭和十六年十二月八日の真珠湾攻撃以来,日本軍とりわけ陸軍の兵士たちはほぼ飢餓状態の中で戦闘を継続した.戦死者の過半数は餓死であったとされる.
 国内においても昭和十七年をピークに食糧生産は下降を続けた.そのような戦時下の『軍隊調理法』とはいかなるものであったのか.

 井上宏生『日本人はカレーライスがなぜ好きなのか』(平凡社新書) が記すところによれば,戦時下に食糧生産が滞る中,軍の管理下にあったエスビー食品の創業者・山崎峯次郎が軍から入手した小麦粉は,月にわずか十五袋であった.これで何をしたかというと,軍の命令でカレー粉を生産させられていたのである.
 平時の規範に過ぎぬ『軍隊調理法』であるが,そこに「辛味入汁掛飯」が記載されている以上,戦争に必要であろうとなかろうと軍はカレー粉を必要とした.そして山崎峯次郎は命令に従わざるを得なかった.
 小麦粉以上に,輸入に頼っていた香辛料は入手困難であった.そして遂にウコンがなくなったとき,山崎はカレー粉製造の継続が不能となったことを軍に伝えたが,軍はどうしたか.戦地では食糧無補給の兵士たちが餓死せんとしているときに,台湾から内地へ五百トンものウコンを運んできたのである.これでカレー粉を作れと.

『軍隊調理法』には,ドーナツやカレーの他に多くの料理が記載されている.その一つ一つに,上に挙げたカレー粉のような理不尽があったと思われるのである.

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