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2014年8月30日 (土)

猫の短い命

 関川夏央『やむをえず早起き2 夏目さんちの黒いネコ』(小学館) の表紙写真は,石の階段にたむろするたくさんの猫たちだ.どうやら関川は猫好きらしい.
 関川が,自分の家に迷い込んできた猫を飼ったことがあるという話は,他の本にも書いていた.ある時その猫が四か月ほど家出し,それが帰ってきたときに,痩せこけたその姿を見て関川は少し泣いたと書いている.

 この本の中の一節『やる気あるネコは修行に出る』の書き出しに《近所に、かわいそうなネコがいる》とある.そのネコは元々内猫だったのであるが,何があったのかわからないが,ある時から庭に置かれたダンボール箱に住まねばならぬ外猫の待遇に落とされてしまったらしい.
 猫によっては外猫であることを好む猫もいるだろうが,いつもその猫は閉じられたガラス戸に鼻をつけて家の中に入れてもらいたそうにしていたという.犬も猫も未来のことは考えないと思うが,過去のしあわせだったときのことは忘れないのだろう.
 その状態が三年ほど続いて,外猫には厳しい東京の冬が過ぎてもうすぐ春が来るかという三月の初旬,庭のダンボールが片づけられていたのに関川は気が付いた.

もうネコはいないのだ。春はもうすぐそこというのに、彼女は力尽きたのだ。関係ない立場ではあっても、無念であった。

 ダンボールのねぐらをもらえても,外猫はそれほど長生きできないのではあるまいか.
 いわんや地域猫や野良猫においてをや.
 自治体のサイトに「野良猫はねずみ算式に増えます」と書いて (殺処分の言い訳をして) いることがあるが,実際にはそんなに増えない.計算上は爆発的に増えるが,現実にそうならないのは,仔猫はもちろん親猫も短命で死んでいくからである.それ以外に理由はない.ここら辺りのことはハルノ宵子『それでも猫は出かけていく』(幻冬舎) の記述からも推察される.地域の猫に不妊手術を施すとテキメンに数が減少するのは,実に家の外で暮らす猫たちがハムスター並に短命だからであろう.

 私が現在住んでいるマンションの周辺では,昨年初めに引っ越してきて以来,一匹の猫も見かけたことがない.不思議である.よほど猫の生きにくい環境なのであろうか.

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