ブラック政権
第一次安倍政権が導入を試みたが,「残業代ゼロ」法案と批判されて断念した制度を,現安倍政権は再び持ち出した.
歴代自民党政権の中でも突出して反動的な現政権の特徴的な政策はいくつもあるが,内政上はこれが最悪のものである.
厚労省が昨年,いわゆるブラック企業について調査したところ,調査対象とした五千超の事業所のうち約八割で法令違反があった.違反の内容は違法な時間外労働と賃金不払い残業が主だった.
現行労働基準法では,雇用主が従業員を一日八時間を超えて働かせると割増賃金を払う義務があるが,安倍政権はこの規制を撤廃し,ブラック企業の違法性を解消してしまおうとしている.
ブラック企業をなくそうというのではなく,ブラック企業が法違反に問われないように労働基準法を根本から変えようというのである.すなわち戦後の労働行政を,労働者保護から産業界保護へと転換するのだ.
この問題についての全国紙の報道は断片的で緩慢である.今のところ詳しい解説としては東洋経済オンラインの《「ヒラ社員も残業代ゼロ」構想の全内幕》(5/26掲載) がわかりやすい.
さて一昨日,田村憲久・厚生労働相は,この「残業代ゼロ」法案が《(低所得の) ワーキングプアの人が対象になることはありえない》と述べた.
安倍政権の成長戦略を担当する甘利明・経済再生相も,この日の記者会見で《極めて所得の低い人があてはまるとは思っていない》と述べた.(以上,《》は朝日新聞DIGITAL 5/28 7:26 から引用)
この二人の発言で問題なのは「ワーキングプア」や「極めて所得の低い人」が曖昧模糊としていることである.
しかし一般的な理解としては,「ワーキングプア」とは四人世帯で年収三百万円以下の就労世帯,「極めて所得の低い人」とは生活保護レベル以下の労働者を指すと考えてよかろう.
となると,両大臣の発言は,言い換えれば勤労者のほとんどが「残業代ゼロ」法案の対象であると言っていることになる.
労働行政における監督官庁である厚労省は,安倍政権のこの労働基準法改悪になんとか抵抗を試みている (かのように見える).そうしないと,労働基準監督署は有名無実のものとなってしまうからであろう.
こんな事態が進行しているのに,肝心の勤労者層はほとんど無関心のように思われる.
いっそのこと,「残業代ゼロ」法案が成立してしまえばいいと私は思う.そうすれば,いくらなんでも国民の安倍政権支持率は低下し,この戦後最悪の政権を窮地に追い込むことができる可能性がでてくる.
我が国では既に死に体となって久しい労働組合は何もできないだろうが,その代わりにネットがある.これが役に立つのではないかと思う.国会周辺を,スマホを持った十万,二十万人もの低所得勤労者とワーキングプアが埋め尽くす光景を観てみたいものだ.もしも今の下層勤労世代が戦後二度目の怒れる世代となるなら,私は老骨に鞭打ち,這ってでも国会前に参じるのであるが.
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