臨終
真夜中に目が覚めて,全巻を買ってベッドの枕元に積み上げてある山田風太郎『人間臨終図鑑』(徳間書店) を第一巻「15歳~49歳で死んだ人々」から読み始めた.
今は大抵の人たちが長生きするから,この巻に書かれている夭逝早世の人物は,昔の人が多くなる.そして死因は病死,自殺,刑死,暗殺等々である.
病死には貧困がまとわりついていること多く,例えば樋口一葉,石川啄木.
従って,読んでいて次第に気分が沈んでくる.
甘粕大尉に殺された大杉栄と伊藤野枝,大杉の甥橘宗一の死も,この巻にある.
甘粕事件異説として,甘粕は罪を被ったのだとする者があるが,私には甘粕が,もし大杉殺しが発覚しなければ他の社会主義者も殺そうと企んでいた殺人鬼のように思える.
橋本左内や吉田松陰ほか多数を殺した井伊直弼も一種の殺人鬼だろう.
この本には,こういう臨終が次から次に書かれていて,高橋和己の項でいったん読むのをやめた.朝になっていた.
私はどんな死に方をするのだろう.
臨終の人間「ああ、神も仏も無いものか?」
神仏「無い」
―山田風太郎― (同書 p229)
ま,できれば臨終には,こういう気の利いた笑い話の一つも披露してあの世に行きたいものである.
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