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2014年4月26日 (土)

いつの日か殺処分が (二)

 一昨日の記事に,北海道白老町の海岸で去る二月,土佐犬二頭が,散歩中の橋場トミ子さんを襲って殺害した事件について書いた.
 土佐犬の飼い主である同町竹浦の無職佐治清は,先日逮捕されて取り調べを受けているが,道警苫小牧署の捜査関係者によると,佐治清は橋場さんの遺体を放置し,犬を車で連れ帰り,犬を家に置いて再び現場に戻ってから近くの駐在所に「女性の遺体がある」と届け出たもの.

『東京タクシードライバー』(山田清機,朝日新聞出版) の最終章「長いあとがき」から《》に引用する.

もう、一一時(ママ)を過ぎていただろうか。遊歩道の途中にある公園に、放し飼いの犬が何匹もいるのに出くわした。七、八匹もいるだろうか。中には子供の背丈ぐらいある、白くまのような大型犬もいる。おそらくその公園は、犬の飼い主たちの溜まり場なのだろう。人気の少なくなった夜中なら苦情も出ないだろうと踏んで、みんな揃って放し飼いにしているに違いなかった。赤信号みんなで渡れば怖くないというわけだ。

 著者はその飼い主たちに注意する.

「ちょっと、あんたたち、この公園は放し飼い禁止ですよ」

 そして著者と飼い主たちは口論になる.犬の一匹は著者を威嚇する唸り声を上げた.

「子供が噛まれたら、どうするんだ。早く鎖につなげよ」
「子供なんて、どこにもいないじゃありませんか」
 リーダー格らしい中年女性が、一歩私の方に踏み出して言った。
「この子たちは絶対に人を噛みませんけれど、万が一ということを考えて、こうしてわざわざ深夜を選んで放し飼いにしているんですよ」
 まるで、自分たちが配慮をしてやっていると言わんばかりである。私の血圧は、一気に上がった。

すると中年女は言い放った.

「この子たちは、日中、自由に駆け回ることもできないで、鎖につながれていなければならないんですよ。人間の勝手で、この子たちが走り回れる場所がどんどん少なくなってしまったの。せめて夜中の公園ぐらい、この子たちが自由に駆け回れるようにすべきよ」

 このあと,著者は中年女を正論で論破するのであるが,もう多言を要しないだろう,『東京タクシードライバー』の著者が夜中に出くわしたこの中年女は,もう一人の佐治清である.
 もう一人,どころではない.
 私の感じるところでは,犬の飼い主の中には,無視できぬくらいの割合で「人間の勝手で,犬たちが走り回れる場所が少なくなってしまった」「うちの犬は絶対に人を噛まない」と考える者がいる.
 そしてその者たちの多くが,命令語とリードを用いて自分の犬をコントロールすることができない.
 私たちの周囲には,たくさんの佐治清がいるのである.
(続く)

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0426dog

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