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2014年4月13日 (日)

大腸の糖鎖に結合するビフィズス菌

 高等教育を受けたはずの人物が疑似科学の創始者であったりする.
 血液型人間学の源流は古川竹二という人で,東京帝国大学文科大学教育学科卒の東京女高師教授であった.
 これを受け継いだのが能見正比古で,これは東京大学工学部卒.
 私が以前勤務していた会社の経営者で血液型人間学の信奉者がいて,こいつが事あるごとに「君は○型だから」と言うのには閉口した.

 ウェブ版毎日新聞 (4/10 11:03) が,米国国立がん研究所が五年も前に発表した「O型の人は膵臓がんになりにくい」との疫学調査研究を取り上げている.
 これは約十万人を対象にして八年間追跡調査したもので,膵臓がんのなりやすさは,B型は対O型比で約1.7倍,AB型は約1.5倍,A型は約1.3倍だったという結果であった.

 この調査研究のあと,「O型は血栓症になりにくい」「O型は胃や腸など消化器系潰瘍になりやすい」なども報告されているという.
 要するに臓器表面にある血液型糖鎖が,いくつかの疾病と関係しているらしいという話だ.
 それはいかにもありそうなことだが,血液型ヨタ話の信奉者が喜びそうな話でもある.

 さて,なぜ毎日新聞が今さらこんなことを取り上げたかというと,斎藤忠夫・東北大大学院教授らが,潰瘍性大腸炎の原因の一つと考えられている腸内細菌のフソバクテリウム・バリウムが腸の血液型糖鎖に結合するのを阻害するビフィズス菌を発見したことがある.
 このビフィズス菌のほうがフソバクテリウム・バリウムよりも大腸内壁に強く結合するから,フソバクテリウム・バリウムの大腸内滞留を抑制できるだろうという予想である.
 斎藤教授らは,このビフィズス菌が潰瘍性大腸炎の予防などに効果があるか検証する臨床試験に入りたいという.
 はたして実際に効果があるかどうか,興味ある試験ではある.

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コメント

 こう云うことに関心がおありでしたら「寄生虫なき病」と云う本が、本体価格2,200円とちょいお高いですが、面白いですよ。要するに寄生虫、病原体、人体常住細菌等をも含む寄生生物と免疫疾患系疾病との関係を追及したドキュメント本です。ビフィズス菌や潰瘍性腸炎のことも出てきます。併し、自閉症と寄生生物とが関係するらしいとは知りませんでした。

ベラスケス-マノフ,モイセズ 赤根洋子訳「寄生虫なき病」 文藝春秋 2014年 ISBN978-4-16-390035-3

投稿: warbler | 2014年4月13日 (日) 06時05分

 糖鎖認識型微生物を大腸内壁に固定するという発想は,一種のバイオリアクターですね.それはそれで面白いのですが,大腸内壁の血液型糖鎖がすべてこの微生物によって占有されてしまうことがどのような影響を人間側におよぼすか,興味がもたれます.
 これは,なぜ臓器表面に血液型糖鎖があるのかの理由に関係するでしょう.
 また,このような操作で腸内細菌フローラが単純化されてしまうことの影響はどうなのか,という問題もあるかと思います.個人的には,この研究の先行きは,あまり明るくないのではないかという気がします.

投稿: 江分利万作 | 2014年4月14日 (月) 00時31分

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