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2014年4月 2日 (水)

実験ノート

 昭和四十七年,私は学部を卒業して民間企業に就職した.
 当時は,修士以上に進むのは同学年の三分の一くらいだった.
 就職する方が多かったので,その時は何とも思わなかったのだが,やがて会社の研究所に配属されてくるのはほとんど院修了という時代がやってきた.
 私は三十代なかばで研究室長になったが,部下が全員院修了で数人が博士という事態になり,正直なところ自分の学歴について「院に行っておきゃよかった」と思うようになった.
 そんなときに当時の研究部門担当役員が,私に会社在籍のまま大学院に進む道を拓いてくれた.
 それから三年の間に,いくつかの学会誌に全部で五つの論文を投稿し,それらをまとめて博士論文を書いた.
 当時の実験ノートと,参考文献のファイル,投稿して掲載された論文の別刷などは今も保存してあり,ダンボール一箱になる.
 学会誌編集委員会や査読者との遣り取り,欧文校閲者の手が入った原稿,ゲラ刷まで残してある.
 こういうものを保存してあっても大した意味はないのだが,私の人生にとっては大切なものである.

 理研の小保方研究員 (以下,小保方) の実験ノートが,研究者にとって何よりも大切な実験ノートが,三年間で二冊しかないと理研が発表した.
 このノートの内容について調査委員会は言外に,小保方が本当に実験をしたのか怪しいと言っている.
 このブログで私は,小保方は研究者には向かないが実験は好きかもしれないと書いた.
 しかし実験ノートが三年間で二冊だったと聞くと,実験も嫌いであったように思われる.
 とすると何が小保方を,嫌いな実験台に向かわせていたのか.実験台で何をしていたのか.

 割を食ったのは再現実験をやらされるはめになった理研内共同研究者の丹羽仁史氏だ.
 しかし小保方がデッチ上げた方法を追試する過程で,小保方と異なる方法で STAP 幹細胞の存在を確認するチャンスがあるかも知れない.
 そうなれば, STAP 幹細胞作出の栄誉は丹羽氏のものだ.
 幸運を祈りたい.

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