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2014年3月27日 (木)

宇治金時

 昨年末に消費者庁は,ステーキとは一枚肉を焼いたものに限るという定義をした.
 これにより,昔からの料理名である「ハンバーグステーキ」は,「ステーキ」の部分が一枚肉を焼いたものを想起させるから優良誤認となり,単に「ハンバーグ」としなければならなくなった.
「ハンバーグステーキ」は英語でも hamburger steak であり,steak の一つであるにもかかわらずである.

 家庭で作る料理は消費者庁の規制対象外であるが,定食屋の大根ステーキ定食はもってのほかであり,レストランメニューのアワビのステーキも景表法違反の疑いがある.

 また,タルタルステーキはみじん切りにした生肉であるから,消費者庁の定義に従えばステーキと呼ぶことができない.
 ではこれをなんと呼べばいいのか.タルタルか.馬鹿を言うなと言いたい.

 このような愚かな消費者行政のもとでは,かき氷の一般的な品名である宇治金時も優良誤認とされるだろうと,昨日の記事で触れた.
 宇治茶は高級ブランド茶だから,パーラーのメニューで,宇治茶以外の抹茶を使用していながら宇治金時と書けば優良誤認ということになるのだ.(抹茶金時なら無問題)

 そこで,宇治茶についてもう少し詳しく書く.
 Wikipedia【宇治茶】にはこうある.
現在も玉露や抹茶を中心とした高級茶の代名詞となっているが、近年の食品の表示基準の厳格化の波を受け、社団法人京都府茶業会議所が2004年(平成16年)3月25日に、「宇治茶は、歴史・文化・地理・気象等総合的な見地に鑑み、宇治茶として、ともに発展してきた当該産地である京都・奈良・滋賀・三重の四府県産茶で京都府内業者が府内で仕上げ加工したものである。ただし、京都府産を優先するものとする。」と「宇治茶」の定義を決定した。しかし、その具体的な割合の数値は公表できないとしている。この基準は、前年の2003年(平成15年)4月に試験的に導入した「府内産茶葉50%以上でブレンドは奈良、滋賀、三重産に限る」というものが府内産茶葉の不足などから製造及び生産団体の承認を得られず、新たに導入したという経緯がある[4]。 なお、「宇治茶ブレンド」とは、「宇治茶を50%以上を使用したもの」としている。

 一読しただけではわかりにくいが,つまり宇治茶というのは《京都・奈良・滋賀・三重の四府県産茶で京都府内業者が府内で仕上げ加工したもの》だというのである.
 しかも茶葉使用量は京都産が26%以上で,かつ他県産がそれ以下なら,宇治茶を名乗ることができる.
 さらには京都産なら,宇治から遠く離れ気候風土の違う舞鶴あたりの茶が26%以上使用されていれば,宇治茶であるということだ.

 この宇治茶の定義については,宇治茶の老舗,蓬莱堂のサイトに,店主の見解と,京都府茶業会議所の見解が対比して書かれており,興味深い.

 ちなみに宇治茶と並ぶブランド茶である静岡茶はどうかというと,以下の通りである.
 Wikipedia【静岡茶】
表示基準
社団法人静岡県茶業会議所と社団法人日本茶業中央会により、以下の厳格な表示基準が規定されている。基準を満たさないものは静岡茶の表示を行うことができない。
静岡茶 - 静岡県内産茶葉を100%使用したもの
静岡茶ブレンド - 最終加工地が静岡県で、静岡県内産茶葉を50%以上100%未満使用したもの(配合比率を表示すること)。他県産、海外産の茶葉も使用される。

 どことなく何か隠していそうな宇治茶に比べて,こちらは明確である.
 といっても,かつては鹿児島県産茶葉を静岡茶として販売していて,それがバレて問題となった過去があり,それ以後姿勢を正したのであるが.

 さあ,宇治金時問題はどうなるのであろうか.

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