乙女の四十年
昨年十月二十三日に書いた「私のなんちゃってPCオーディオ」は,このブログで閲覧数の多い記事である.
それまではPCのオーディオ出力 (サウンドカードではなくマザーボードの) にアクティブスピーカーを繋いでテキトーな音を聴いていたのだが,そのアクティブスピーカーがダメになったので,いわゆるPCオーディオに更新したことを書いた.
私はオーディオマニアではなくクラシック音楽ファンでもないのだが,どうせ更新するならと,USB 出力に DA コンバーターを接続し,これに新規購入したアンプとスピーカーを付け加えてシステムを構成した.
スピーカーは中級品 (中の下クラス) のブックシェルフだが,アンプは安価な製品なので「“なんちゃって”PC オーディオ」としたのである.
上述のシステムはリビングにおいてあるPCのものだが,mp3 の音楽データを iTunes で再生して聴いていると,やはりPCにアクティブスピーカー直付けするよりもいい (ような気がする).
それで,書斎 (実はベッドも置いてある“なんちゃって書斎”) のPCも,アクティブスピーカーをやめて,なんちゃって PC オーディオ化することにした.
そのことは別記事にするが,そこまでするならと,音源はこれまで蓄積してきた mp3 ではなく,手持ちのCDをすべて非圧縮の AIFF にしてみることにした.
以来,休日にその作業をしてきたのであるが,一昨日,昔のアイドル歌手の歌を集めたCDを AIFF 化していたら,その中に伊藤咲子の「ひまわり娘」と「乙女のワルツ」が収録されていた.
あらためて「乙女のワルツ」を聴いてみると,いいですなあ.
伊藤咲子は山口百恵よりも一つ年上だが,デビューは同じ1973年である.
花の中三トリオに人気では後れをとったが,歌唱力では桜田淳子を後ろ足で蹴飛ばすほどの実力であった.
彼女は今はどうしているのだろうと Wikipedia を読んでみたら,2004年に歌手活動を再開しているという.
それで YouTube もみてみたら,歌手活動再開後の「乙女のワルツ」がいくつかアップされている.
それらを一通り聴いてみたのであるが,感想は「ちょっと残念」であった.
声域が狭くなっているのであろう.低音部の声が不安定である.
それよりも何よりも,現在の思い入れ過剰の歌唱が鼻につく.
例えば歌詞中の《どうぞ愛があなたにとどくようにと》を《どうぞ愛があなたにとどくように と》と,演歌歌手みたいな変な間を入れて歌っている.
五十五歳の伊藤咲子の活躍は祈るが,「乙女のワルツ」についていえば,彼女が乙女の頃の歌唱に遠く及ばないと思った.
ついでだが,昨日はエンゲルベルト・フンパーディンクの古いCDも AIFF ファイルにした.
E.フンパーディンクの若い頃は,その堂々たる歌唱力を裏切るような「なんちゃってエルビス」的容姿であったのだが,現在の老E.フンパーディンクは,堂々たる前頭部が私には親近感を感じさせて,とても好ましい.
伊藤咲子とフンパーディンクのCDを手にして,四十年の時の流れをしみじみと思った.
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