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2014年3月16日 (日)

爆笑 武田ネタ

 中部大学総合工学研究所教授の武田邦彦氏がテレビ出演して小保方問題について発言した.
(「武田邦彦×小保方」で検索するとそのテレビ出演場面が YouTube に載っているので興味ある向きはご覧頂きたい)
 この放送について,少し長いが J-castニュース (2014/3/14 19:45) から直接引用すると以下のようである.(以下の《》の斜体部)

さらに武田氏は、小保方氏が早稲田大学に提出した博士論文で20ページにわたる「コピペ」が指摘されている件についても…(中略)…。「コピペ」とみられているのは、幹細胞の基礎知識を説明する部分であり、武田氏は「これ著作権がないんですよ。(科学の)事実は誰が書いても同じなんです。だから、彼女の20ページは世界中のだれが書いても同じ文章になる」とする。科学者の目的は金や利権ではなく「自然現象を明らかにすること」である以上、こうした文章は「人類共通の財産」であるため、引用を示す必要もないというのが、その理由だ。

これ著作権がないんですよ》が,爆笑部分である.
 そもそも今回の小保方の博士論文事件に関しては,著作権云々は全く無関係である.
 無関係である著作権を持ち出したところに武田邦彦教授の無知があらわになっている.

 自然科学論文における「引用」という用語は,日常的に使われる一般的な意味ではない.
 普通の意味の「引用」は,私が上にJ-castニュースから引用を行ったように,元の文章そのものを引くことをいう.
 ところが自然科学論文では,例えば「誰々は、細胞の初期化においては ***** が重要であると指摘した。( )」という書き方をする.そして「」内の末尾の( )には引用論文リストの番号を入れ,論文リストには,その論文が掲載された論文執筆者名,学術誌名,巻,号,該当ページなどの書誌事項を書く.
 このようにして,決して元の文章を引き写すことはしない.
 これが自然科学論文における「引用」である.参照すべき過去の論文を指し示すことを「引用」と呼ぶのである.
 なぜこのようにするかというと,自然科学論文には「簡潔に書く」という鉄則があり,引用された論文を読めば済むことは,文章を引用しないようにするというルールがあるからである.
 つまり,文章を引用することはないから,著作権のことは無関係なのである.
 小保方の博士論文において彼女がNIHのサイトから無断転載した部分は,「幹細胞の基礎的知識については,米国立衛生研究所 (NIH) のウェブサイトに解説がある。(<引用論文番号>)」と一行で書かねばならなかった (実際には英語で) のであり,それが自然科学論文を書く上での初歩知識である.
 従って,博士論文でも学術誌に投稿する論文でも,NIHのサイトから文章を転載しようものなら,たとえ引用文献リストにその文献の在り処 (この場合はURL) を記載したとしても,査読者から「引用文献を示すだけにとどめよ」とコメントをつけられて,バッサリと該当部分を削除されてしまう.

 とまあ,こういうことが自然科学論文においての常識であるわけだが,にもかかわらず武田教授は,自然科学論文執筆の原則とは無関係な著作権のことを持ち出したのであった.
 武田邦彦という人物は,教授であるから「学者」と呼んでも差し支えはない(一般には「トンデモ学者」と呼ばれている) が,一種のタレントであるからして,この人を研究者と呼ぶ人は,まずいないと思われる.
 こういう人を放送の場に,学問に関するコメンテーターとして招くところに,テレビというもののバカさ加減が如実に示されている.

 以上,自然科学論文の書き方について記したが,学術誌には論文のほかに「総説」と呼ばれるものがあって,総説では,重要な仮説を提示した文章などを直接示すことが有意義である場合には,引用文献中の文章が転載されることがある.もちろん引用文献番号付きである.

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武田教授の小保方擁護

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