ハムとは何か その五
つなぎにハモを使用する《幻の絶品ハム》に続いて,あきれた製法のハムを紹介する.
このハムの製造業者も,やはり楽天ショップを出店しており,広告コピーの一部を以下に引用する.
1.《洞爺湖サミットにてG8首脳に出される朝食メニューに採用された○○ハムの逸品を是非お楽しみ下さい。》
2.《本場ドイツのマスター (原文ママ) から直伝のドイツ製法を創業依頼 (原文ママ) 守り続けています。》
上の 1 のコピーは《「洞爺湖サミットにてG8首脳に出される朝食メニューに採用された○○ハム」の「逸品」を是非お楽しみ下さい》と解釈しなくてはいけない.(○○ハムは業者名)
この業者の製品で洞爺湖サミットの朝食に採用されたのはベーコンとソーセージであってハムではないからである.紛らわしい.
次の 2 の「マスター」はマイスターのつもりであろう.厳密には区別するほうがよい.「創業依頼」はコメントしない.(笑)
で,原材料は以下のとおりである.
《【原材料】
豚もも肉(北海道産)、粉末水あめ、食塩、ポークエキス、大豆たん白、乳たん白、た
ん白加工水分解物 (原文ママ)、リン酸塩(Na)、pH調整剤、調味料(アミノ酸)、酸化防
止剤(V.C)、発色剤(亜硝酸Na)、着色料(ラック、コチニール)》
《豚もも肉(北海道産)、粉末水あめ、食塩、ポークエキス》は問題ない.
《大豆たん白、乳たん白、たん白加工水分解物 (原文ママ;正しくはたん白加水分解物)》は,このハムが水増しハムであることを示している.
《リン酸塩(Na)》《酸化防止剤(V.C)、発色剤(亜硝酸Na)》はよしとして,《pH調整剤》とは一体何事であるか.
「pH調整剤」はコンビニ弁当でお馴染みの添加物であるが,コンビニの弁当や惣菜がおいしくないのは,グリシンとpH調整剤のせいであるといっていい.
では,味よりも保存性を重視しているのはなぜか.
賞味期限が短いと廃棄ロスが増えるからであるが,大手も中小も含めて他のハムメーカーが使用しないpH調整剤 (惣菜でもないハムにこんな添加物は表示したくないのである) を使っているのは,使わざるを得ないのであろう.これを使用しない素のままの賞味期限を訊いてみたいものだ.
最後の《着色料(ラック、コチニール)》も,これまた一体何事であるか.
他のハムメーカーが使いたくない着色料を使っているのは,使わざるを (以下同様).
私は物好きなので《幻の絶品ハム》は試しに購入してみたが,《洞爺湖サミット》を宣伝広告するこの業者のハムは,さすがに買う気が起きない.G8首脳の朝食に採用されなくてよかった.
(続く)
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