春野菜の唄
私は野菜が好きで,温野菜,生野菜とりまぜて朝食に三百グラムほど食べる.
昼飯はコンビニで買うものだから野菜はほぼゼロだが,夕食の煮物やおひたしを合わせると,一日に四百グラムくらい摂っているんじゃなかろうか.
還暦を過ぎたのに未だ焼肉屋でカルビなんぞを食っていると,勢い余って何事か悪いことを企みそうな気配があるが,カルビの対極にして大地の恵みたる野菜をパリパリと食んでいると,なんかこう心が清浄に澄み渡る心地がする.
食物繊維が腸内環境を整えてくれるのみならず,このように野菜には精神面の浄化作用もあるらしく,先日など道ですれ違う見知らぬ人が神々しいものを見るかのように私を拝んだくらいである.大嘘です.
この時期だと,私の冷蔵庫の大きな保存容器にはブロッコリとカリフラワーを茹でたものが常備してある.
この常備菜と,デパートの惣菜売場で購入してきたサラダを混ぜ合わせ,カレー皿くらいの皿一杯に盛って,わしわしと食う.ポン酢よし,フレンチドレッシングと黒胡椒を振りかけてもまたよし.
昨日の仕事帰りに買ったサラダには,キャベツ,大根,胡瓜,人参,蕪 (以上は多い順) の他に筍も入っていた.
私は関東の生まれ育ちなので,筍の季節というと五月だが,関西では二月から出荷が始まるのだそうだ.上にあげたサラダの筍は関西圏からのものかも知れない.
もうすぐ三月の声を聞くと,そろそろ店頭に蕗が出回る.ハウス栽培ものは夏期を除いてほぼ一年中あるけれど,春のものがやはりおいしい.
蕗は下ごしらえがちょっと面倒だが,春野菜らしくて食卓にこれがあると嬉しい.
昨晩,手元の吉田拓郎のアルバムをかけたら,そのCDに『フキの唄』が入っていた.
拓郎や私が子供だった頃,《日本は貧しくひ弱で お金もなく肩寄せあって生きていた 物が足りないのは みんな一緒だし普通だし 何よりも平和が大切でありました》と拓郎は歌う.
あれから日本人は強欲になって,《何もかも手に入れたい》と思うようになった.
でも,拓郎は蕗や筍が好きで,蕗や筍のように質素なものを食べていると,《何もかも求めすぎずにおだやかに》生きようという気持ちになるとの趣旨の歌詞である.
惣菜売場のサラダだが,入っていた胡瓜は季節感に反するなあ.
そういえば春野菜のサラダというのも売られていた.次はそれにしようと思う.
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