ハムとは何か その二
前の記事に書いたローマイヤー製法のハムは,Wikipedia【ロースハム】 から引用すると次のようである.
《ロースハムの一般的な製法を以下に記す。
1.ロース肉部位を適当な大きさに切り、バラ肉とロース肉に切り分ける。バラ肉部分はベーコンとなる。
2.整形した肉を並べ、砂糖を肉面全体に振りかけ、肉に刷り込む。
3.塩、コショウ、シナモン、ナツメグなどを混ぜ合わせたものを同様に肉に刷り込む。
4.みじん切りにしたタマネギ、ニンニク、ショウガを肉に塗す。
5.ビニール袋に入れた後に日本酒、みりんを注ぎ、密閉して冷蔵庫で3日から7日漬け込む。
6.肉表面の調味料をこそぎ落し、浸透性セロファンを巻き、タコ糸でらせん状に縛る。
7.乾燥・燻製・加熱作業を実施する。》
上の引用箇所に書かれている作り方は,現在では一般的とはいいがたい.
塩や香辛料を手作業で擦り込む (乾塩法) のは生産性がわるいこと,また全体に均一に刷り込むのは難しいことから,塩その他を水に溶かしたもの (ピックル液と呼ばれる) に漬ける方法が現在は一般的に行われている (湿塩法).
ローマイヤー製法で豚肉を塩蔵すると,塩と香辛料が内部に浸透することと同時に,肉表面にタンパク質分解物が生じ,肉を円柱状に整形してたこ糸できつく縛り,加熱するとタンパク質分解物の効果で肉片が結着される.
その後,この結着性を改良するために「つなぎ」(結着材料) として卵白が使われるようになった.
余談だが,「つなぎ」に稀に魚肉が使われることがある.
この記事を書くためにハムの製法についてネットを検索していたところ,「つなぎ」として卵白ではなくハモ(魚) のすり身を使用している業者があることを知り,楽天の通販でそのスライスハムを購入してみた.(URL は敢えて示さない.この業者は楽天内を「幻の絶品ハム」で検索するとヒットする)
この製造者のスライスハムは豚ロースではなく腿肉を使用しているのでロースハムではないが,同社のサイトには原材料が公表されていないので,実際に購入してみたのである.(食べてみた感想は後述)
購入したスライスハムの包装に書かれている原材料は以下のとおりである.
名称 ポークハム (包装後加熱)
原材料
豚もも肉,つなぎ (はも),食塩,でん粉,加工でん粉,調味料(アミノ酸),酸化防止剤(エリソルビン酸ナトリウム),ナイアシン,リン酸塩(Na),発色剤(亜硝酸ナトリウム),香辛料,くん液
「ハム類の日本農林規格」ではボンレスハムについて次のように規格を定めている.
-----------------------------------------------
原料肉及び食品添加物以外の原材料
次に掲げるもの以外のものを使用していないこと。
1 調味料
食塩、砂糖類その他調味料として使用するもの
2 香辛料
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また「つなぎ」(結着材料) に使用できるものとして以下を定めている.
植物性たん白,卵たん白,乳たん白及び血液たん白
従って,ハモを「つなぎ」に使用しているこの業者のハムは,「ハム類の日本農林規格」で規定されているボンレスハムには該当しない.(規格に該当しなくても,JASマークを表示できないというだけで,別に問題はない)
楽天に出店している同社の宣伝広告には「○○ハムは昔ながらの製法で一つひとつ丹念に作られている」と書かれている.
「ハモ」を使用している段階で既に《昔ながらの製法》ではないのであるが,添加物等はどうなのか.
そこで包装に表示された原材料について検討してみる.
[余談 (^^;) 続く]
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