転落
取り沙汰されている猪瀬知事の問題について,NHK NEWS WEB (11月23日 4:50) を基にまとめてみると以下のようである.
東京都の猪瀬知事が去年の知事選挙の前に,医療法人徳洲会グループから五千万円受け取っていた.これについて猪瀬知事は,(1) 11月上旬に徳洲会の徳田虎雄前理事長に面会し,選挙への支援を要請した, (2) 資金の授受は徳洲会からの申し出であった,(3) 厚意を断るのは失礼だと考えて借りた,(4) 五千万円という額になった理由はわからない (筆者註;金額は徳洲会が決めた,という意味と思われる) と発言している.
これに対して徳洲会側は,(5) 徳田虎雄前理事長の次男である徳田毅衆議院議員に猪瀬氏から一億円の借入金要請があった,(6) 徳田議員がこれを徳田前理事長に伝えたところ,前理事長から「五千万円で対応しろ」「足がつかないよう議員会館で渡せ」と指示した,と発言している.
上のNHKの報道に対して,TBSニュース (11月23日15:47) では,
(記者) 知事が一億五千万円を要求した事実はあるか.
(知事) それは一切ない.
として,一億円が一億五千万円にふくれあがっている.同じ記者会見の記事なのに,この始末はどういうことだ.
調べてみると,一億五千万円としているのはTBSだけのようである.他の報道機関が猪瀬知事に殺到して「一億円の借り入れを申し込んだのか」と質問して「それは一切ない」と答える中で,TBSだけが「一億五千万円の借り入れを申し込んだのか」と質問し,同様に知事は「それは一切ない」と答えたのだろうか.
こんなずさんな報道でいいなら,仮に「二億円の借り入れを申し込んだのか」との質問に対して知事が「それは一切ない」と答えたら,「知事は二億円を申し込んだことを否定」と書いていいことになる.これが三億でも四億でも一緒.馬鹿じゃないか,TBSは.
それはともかく,石原前知事と猪瀬知事は似ている.つまり作家の世界における一発屋.
猪瀬知事は1946年11月20日,長野県飯山市の生まれ.Wikipedia【猪瀬直樹】によると,信州大学在学中は革命的共産主義者同盟に属した.1969年には信州大学全共闘議長をつとめている.しかし2001年に小泉内閣の行革断行評議会に名を連ねたあたりから権力志向を顕わにし始めた.このブレブレ転向人生には大変興味がもたれる.ナベツネ氏と猪瀬氏について誰か『共同研究 転向』の続きを書いてくれないかと思う.
同世代の作家に関川夏央 (1949年11月25日新潟県長岡市生まれ),山口文憲 (1949年11月25日静岡県浜松市生まれ),呉智英 (1946年9月19日愛知県西枇杷島町生まれ),沢木耕太郎 (1947年11月29日東京都大田区生まれ) がいて,こちらの諸氏は猪瀬知事のような大ブレ人生ではない.私の書架には関川,山口,沢木氏らの著作があるが,猪瀬直樹『ミカドの肖像』は昔買って読んではみたものの,すぐゴミ箱に捨てた.ま,そういう作家であるということで.
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