« 掲示板で調査なんて | トップページ | 牛すじカリー »

2013年11月27日 (水)

不可解な事件 その二

 前の記事「不可解な事件」の続き.
 件の動物愛護団体グリーンNetのブログに新たに掲載された記事、その他既に掲載されている記事を読んで,ようやくおぼろげに理解できたことがある.
 まず,グリーンNetは三重県警に対して川越町職員を,猫の「捕獲」ではなく「遺棄」で告発したということをブログの最新記事で明言した.
 なんでこのような告発をしたかというと,彼らの言葉では「猫が元々いた場所でないところに放す」ことは「遺棄」といい,「元の場所に戻すこと」は「リリース」と呼んで区別しているのであった.したがって掲示板に書かれているようにグリーンNetが行政から引き取った猫を亀山市みどり町の街中に放したのは「リリース」であって正当な行為であるが,川越町職員がしたことは「遺棄」だから動物愛護法違反であり,「遺棄」は告発されるべし、という論理なのであった.
 これは,「野良猫による被害を住人は受忍すべきである」という一般的ではない主張と,彼らの思考の内部において一貫性はあるものの,言葉遊びの感を免れないと考えるのが普通ではないだろうか.自治体の方針に背いてでも「殺すに忍びない」と考えた職員の心情を,彼らは一顧だにせず,職員を警察に告発した.彼らは戦う相手を間違えていないか.これは言葉遊びで簡単に片付けていい問題ではないと私は思う.

 グリーンNetの論理を敷衍すると,例えば神奈川県鎌倉市周辺で大繁殖して,樹木を枯死させるなどの被害が無視できなくなっているタイワンリスはどうなのか.
 鎌倉市はタイワンリスの捕獲器を住民に貸出しており,住民が捕獲したタイワンリスは殺処分しているのだが,これなんかも自治体による動物愛護法違反ということになる.だが樹木の枯死は受忍すべきことなのだろうか.
 また知り合いの大工に聞いたところでは鎌倉市や藤沢市周辺ではハクビシンが住宅の天井裏に住み着く被害 (天井裏で糞尿をため込んで天井が抜ける) が増えているらしいが,これも同じ.もし捕獲したら,元いた住宅の天井裏に戻すのが正しいということになる.
 また各地の湖で繁殖して在来種を危機にさらしている外来魚も,釣ったらリリース (これは釣り用語) しなければいけないことになる.沖縄のマングースも同様だ(*).在来種の絶滅は受忍すべきなのか.
 このように,生き物との共生には難しい問題が存在する.これらの生き物と犬や猫をどこで線引きするのか,常識的で穏やかな論理が必要だ.

(*) ついでに言うなら,里山に出没するクマ,シカ,イノシシは,「遺棄」も「リリース」も区別できないよ,一緒じゃないかと (笑).

 グリーンNetの用語では,保健所が犬猫を殺処分することを「処刑」といい,野良猫を「自立した猫」といっている.「処刑」だと猫に罪があることになってしまうが,日本語としてヘンだとは思わないのだろうか.また彼らは,野良猫は「餌やりさん」(これまた彼らの用語) がいなければ生きていけないのだとブログに書いているが,それでは自立していないとしか私には思えない.
 私は,犬や猫の殺処分を減らすために奮闘している人々や,東北の震災で飼い主を失って放浪している犬や猫の救出を行ってきた個人や団体を心から尊敬するものであるが,それと,このグリーンNet は分けて考える必要がありそうだ.広くブログで動物愛護を社会に訴えるならば,身内だけの特殊な言葉でなく普通の言葉で,普通の論理で,少しでも多くの人の共感を得られるように語るべきだろう.ま,そんな事情のようなので,この事件に関心を持った私が愚かだった.世の中には色んなカルトがあるものだ.

|

« 掲示板で調査なんて | トップページ | 牛すじカリー »

新・雑事雑感」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 不可解な事件 その二:

« 掲示板で調査なんて | トップページ | 牛すじカリー »