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2013年11月

2013年11月30日 (土)

鶴はシベリアから

 私は群馬県の生まれ育ちであるので,正月に『上毛かるた』で遊んだことがある.Wikipedia【上毛かるた】には《子供時代を群馬県で過ごした人は、かるたの読み札をほぼ暗記している》と書かれているが,私の両親は新潟県人で,二人とも戦後になって群馬に移住してきた人間であったせいか上毛かるたには関心がなく,家族で上毛かるたを遊ぶのは正月くらいのものだった.

 小学校でも授業でこのかるたが取り上げられることはなく,Wikipedia には《毎年1月の予選大会の後、2月に行われる上毛かるた県競技大会に向けて、群馬県内の子供たちは、冬休みを利用するなどして練習に励む》とあるが,そんな練習はしたことがなかった.私の兄弟や義務教育時代の友達に訊いてみても,私と同じようなものである.私の少年時代は上毛かるたの普及途上時代だったのかも知れない.その後,いつ頃から Wikipedia に書かれているように盛んになったのだろう.
 

 上毛かるた読み札全四十四枚を一体どれくらい覚えているか,ああでもないこうでもないと頭から絞り出そうと試みたのだが,結局私が正確に記憶していたのは,

 縁起だるまの少林山        太田金山子育呑龍
 しのぶ毛の国二子塚        裾野は長し赤城山
 つる舞う形の群馬県        天下の義人茂左衛門
 中仙道しのぶ安中杉並木      沼田城下の塩原太助
 ねぎとこんにゃく下仁田名産    分福茶釜の茂林寺
 誇る文豪田山花袋         昔を語る多胡の古碑
 耶馬渓しのぐ吾妻峡        老農船津傳次平
 和算の大家関孝和

の,たった十五枚であった.さらに,記憶してはいるものの「何だよそれ,誰だよそれ」状態なのが,
 天下の義人茂左衛門        昔を語る多胡の古碑
 老農船津傳次平
である.
 そこで勉強してみました.「義人茂左衛門」「多胡の古碑」「船津傳次平」を.
 それで少年時代から五十年の時を経て,ようやくわかりました.義人茂左衛門とは,すなわち磔茂左衛門であることを思い出したし,「多胡の古碑」については「おお,そうでしたか!」と思ったことである.
 ただし船津傳次平は,Wikipedia に《群馬県民の間では、知名度だけはほぼ100%である。ただし、何をした人物かはほとんど理解されていない。知名度の高さの理由は、群馬県人の間で圧倒的な普及度のある上毛かるたの「ろ」の札(「老農船津伝次平」なる句)で船津が詠われているためである》と書かれている通り,はぁそうですか,であったが.

 こういう郷土愛のない私であるので,上毛かるたの出版元が財団法人群馬文化協会であることを調べ,何かよいことでも書かれているかと,そのサイトを覗いてみた.
 すると,なんということであろう,群馬文化協会は平成25年11月末解散と書いてあるではないか.
 驚いてよく読んでみると,いずれ上毛かるたは公に属するべしとの初代理事長の遺志に基き,上毛かるたの著作権・商標権を群馬県へ無償譲渡して解散するのであるという.私は偶然にも同財団解散の直前に,初めてそのサイトを閲覧したわけであった.

 上記サイトのコンテンツ中,「上毛かるたの祈り」にはこうある.

子供たちへの「貧しいことを恥じることはない。(中略) 君たちは、ひもじさにも耐え助け合い未来に向かって胸を張って堂々とはばたいてほしい」という深い思いがこめられています。

大人たちには当時敗戦後二度目の冬を迎えて捕虜としてシベリアで強制労働に従事させられている六十万人の同胞へ「祖国日本は決して君たちを見捨てない。必ず救出する。シベリアを飛び立つ渡り鳥鶴に思いを託し、一歩でも二歩でも南下し帰る日まで生き抜いてほしい」という誓いと祈りをこめた、留守家族への励ましと救出運動の呼びかけでもありました。

 これが上毛かるたの意義と理念であったという.
 群馬文化協会の前身は,満州から故郷・群馬へ引き揚げてきた後に,戦争犠牲者の支援に取り組んだ浦野匡彦 (のちに二松学舎大学学長に就任) が率いた恩賜財団同胞援護会群馬県支部であったとのこと.そして上毛かるた競技会における最初の読み札である「つる舞う形の群馬県」の「つる」には,シベリアに残された六十万人の同胞への「祖国日本は決して君たちを見捨てない。必ず救出する」との思いが込められていたというのである.
 ああ,今日この日この歳になるまでこれを知らなんだ.子供の頃,もう少し上毛かるたを覚えればよかった.そう思ったことである.

【追記】
 浦野匡彦は,日本民族精神の復興を唱え,首相の靖国神社公式参拝運動のリーダーの一人であった.前半生のシベリア抑留者引揚支援運動は讃辞に値するとしても,その後の活動は私としては容認しがたい.
 私に郷土愛がないのは,極端に頑迷保守的な政治的風土と,勝ち馬に乗って利を得んとする野蛮愚劣な県民性 (なにしろ福田・中曽根時代に,国政選挙の際に選挙運動員が相手陣営事務所に大挙して殴り込みをかけ,かけられた方も報復の殴り込みをするという無法な暴力事件が何度も繰り返しあったほどの愚かさなのである) が大嫌いだからである.一般県民の民度の低さを鑑みるに,群馬が輩出した福田赳夫,中曽根康弘,小渕恵三,福田康夫らの保守政治家がなんと良識的な人物であるかと思えてくるから不思議である.
 高校時代の私は群馬が嫌で嫌でたまらなく,とにかくここを逃げ出して東京に行きたいと思った.その後は数えるほどしか帰郷していない.しかし群馬県人は嫌いでも,群馬の自然は大好きである.群馬県人は嫌いでも,群馬県は嫌いにならないでくださいと前田敦子も言っている.言ってません.
 赤城,榛名,妙義の三山.尾瀬の山と花.草津白根.山深くある温泉郷.みな忘れがたい思い出の中にある.

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2013年11月29日 (金)

身を立て名をあげ

 大分県の全日制県立高校では,四十五校中で二校だけに学食があるのだそうだ.
 読売新聞の記事 (11月27日) にそう書かれていた.
 その二校は中津北高と杵築高だが,中津北高では昨年三月に,杵築高では今年三月に業者が撤退してしまった.
 この学食廃止の危機に,中津北高では卒業生などの支援が結集し,特に卒業生の母親達の奮闘で今は学食が再建され,生徒は温かい昼食を食べることができているという.

 うむ,いい話だなあと感心したが,実は私の高校時代は,学校に食堂がなかった.クラスの半分くらいは弁当持参だが,あとはパンを買って昼飯にする.市内のパン屋さんが,昼休みになると構内にあるキオスクよりも狭いパンの売店にパンをたくさん運んできて,生徒達はそこでカレーパンとかコロッケパンを買って昼飯にするのであった.
 他に色々なパンがあったろうに,私はカレーパンとコロッケパンしか覚えていない.きっとそればっかり食べていたのだろう.今でもカレーパンとコロッケパンが好きであるのは,この時の刷り込みであろうか.
 カレーパンとコロッケパンをハイカロリー調理パンの龍虎といい,これにパン界における粉もんのチャンプである焼きそばパンと,ポテトサラダサンドイッチを加えて,栄養バランス崩れまくり四天王と呼ばれるのは各位既に御案内のことと思う.ちなみに,焼きそばパンといえば,東海道新幹線小田原駅の待合室に弁当販売店があり,そこが商っている焼きそばパンがすばらしい.二つに開いたパンから焼きそばが溢れんばかりであるため,うっかりすると焼きそばがこぼれる.「ひかり」では隣のシートに乗客が間違いなくいるから,空いている「こだま」で食べたほうがいい.包装袋からゆるゆると少しずつ取り出し,慎重に食い進むようにしないと,食べこぼした焼きそばの切れ端が床に散らばる可能性が高い.
 中身の焼きそばのソースも旨い.人気があるようで朝の間に売り切れてしまうことが多いが,新幹線小田原乗換で出張される皆様にお勧めしたい.

 閑話休題.
 そんな高校時代のことを思い出して懐かしさにかられ,今はどうなっているのかと,母校 (男子校) のサイトを覗いてみた.
 すると,私の在学時よりもずっと近代的な校舎になっているが,現在でも学食施設があるとは書かれておらず,どうやら今も後輩諸君はカレーパンとかコロッケパンを食っているようであった.
 やせ我慢と言われようとも女子と席を同じうせずに質実剛健を旨とする校風の故,おしゃれなブフェなんぞは無用のものなのであろう.三年間,カレーパンとコロッケパンで勉学に勤しみ,いずれの日にか身を立て名をあげ,やよ励めよ,後輩諸君.

 ところで,この『あおげば尊し』であるが,「身を立て名をあげ,やよ励めよ」と歌う二番の歌詞は,非民主的であるとして今は歌われることもなくなり,音楽教科書から削除されてしまったことを知った.それがいつ頃からかは知らないが,私は二番の歌詞を知っているし歌った記憶もあるのだが.
 はてさて,教え子が「身を立て名をあげ」ることを教師が願うのは民主主義と背反するのだろうか.例えば高校の卒業式で,「えらくなってね」と学食のおばちゃんが生徒を送り出すのはいけないことだろうか.
「身を立て名をあげ」すなわち立身出世と,そのままに解釈せずともよいではないか.私はそう思うのだがどうであろう.

【資料】
大分大学医学部総合内科学第二講座ブログ

試論「身を立て名をあげ」の現在

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2013年11月28日 (木)

牛すじカリー

 今まで何の疑問を持っていなかったことに,ある日「あれ? そうだったのか」と思うことはだれにもあるのではないだろうか.

 今週号の週刊アスキーに,カレー専門店 (といいつつ夜は居酒屋営業という一風変わった店) の「トプカ神田本店」を紹介する記事が載っていた.店の場所は,秋葉原駅を出て万世橋を渡ったあたり.
 このカレー屋さん,ネット上では旨いとすこぶる評判が良いようだ.店の入り口を画像で見ると,ドアの左右に「印度カリー」「欧風カリー」という看板がかけられている.アスキーの記事によると,印度 (アスキーの記事にはインドと書かれている) カリーの「印度 (同前註) 風ポークカリー」と「牛すじ煮込みカリー」がお勧めらしい.

 ここで話は突然横に飛ぶが,Wikipedia【インド】によると,《インドの人口に占める各宗教の割合: ヒンドゥー教徒80.5%、イスラム教徒13.4%》だそうである.
 よく知られているようにヒンドゥー教徒は牛肉を食べない.
 イスラム教徒は豚肉を食べない.
 従って,「印度風ポークカリー」は少数派のイスラム教徒を勘定に入れていないのだと解釈するとしても,牛肉を煮込んだ印度カリーは決してあり得ないことになる.(註*)
 であるからして料理名を「印度風牛すじ煮込みカリー」とか「牛すじ煮込み印度カリー」にしたりすると,消費者を不当に誘引して合理的な選択を阻害するおそれがある食品偽装であるとして景表法違反の疑いがあり,消費者庁に乗り込まれることになる (かも知れない).
 そうか,それで単に「牛すじ煮込みカリー」なのか.そういえば,私がよく行くカレー専門店はインド人が店主なのだが,メニューにビーフカリーはなかった.この店はイスラム教徒にも配慮しているのか,ポークカリーもなく,肉はチキンのみ.ネット検索すると,インド風ビーフカレーというレトルトカレーが見つかるし,レストランでは新宿中村屋にビーフカリーインド風なんてのがあったりするのだが,これには必ずやインド風天誅がくだるであろう.どんな天誅だかよく知らないが.
(CoCo壱は大衆カレー屋であってインド風カリーをうたっていないから,なんでもありでよし)
 なるほど,カレーは奥が深い.て,そんなことで感心しているのは私だけか.

(註*) もちろんインド人でもイスラム教徒は牛肉を食べるが,これは我が国における食品表示に関しての話.

【追記】
 上に書いたことで訂正が必要になった.アスキーの記事では「牛すじ煮込みカリー」となっているが,トプカのメニューを見ると,正しくは「欧風牛すじ煮込みカリー」であった.「牛すじ煮込みカリー」だけでも問題はないが,これに「欧風」をつければ,もう無敵の無問題料理名である.

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2013年11月27日 (水)

不可解な事件 その二

 前の記事「不可解な事件」の続き.
 件の動物愛護団体グリーンNetのブログに新たに掲載された記事、その他既に掲載されている記事を読んで,ようやくおぼろげに理解できたことがある.
 まず,グリーンNetは三重県警に対して川越町職員を,猫の「捕獲」ではなく「遺棄」で告発したということをブログの最新記事で明言した.
 なんでこのような告発をしたかというと,彼らの言葉では「猫が元々いた場所でないところに放す」ことは「遺棄」といい,「元の場所に戻すこと」は「リリース」と呼んで区別しているのであった.したがって掲示板に書かれているようにグリーンNetが行政から引き取った猫を亀山市みどり町の街中に放したのは「リリース」であって正当な行為であるが,川越町職員がしたことは「遺棄」だから動物愛護法違反であり,「遺棄」は告発されるべし、という論理なのであった.
 これは,「野良猫による被害を住人は受忍すべきである」という一般的ではない主張と,彼らの思考の内部において一貫性はあるものの,言葉遊びの感を免れないと考えるのが普通ではないだろうか.自治体の方針に背いてでも「殺すに忍びない」と考えた職員の心情を,彼らは一顧だにせず,職員を警察に告発した.彼らは戦う相手を間違えていないか.これは言葉遊びで簡単に片付けていい問題ではないと私は思う.

 グリーンNetの論理を敷衍すると,例えば神奈川県鎌倉市周辺で大繁殖して,樹木を枯死させるなどの被害が無視できなくなっているタイワンリスはどうなのか.
 鎌倉市はタイワンリスの捕獲器を住民に貸出しており,住民が捕獲したタイワンリスは殺処分しているのだが,これなんかも自治体による動物愛護法違反ということになる.だが樹木の枯死は受忍すべきことなのだろうか.
 また知り合いの大工に聞いたところでは鎌倉市や藤沢市周辺ではハクビシンが住宅の天井裏に住み着く被害 (天井裏で糞尿をため込んで天井が抜ける) が増えているらしいが,これも同じ.もし捕獲したら,元いた住宅の天井裏に戻すのが正しいということになる.
 また各地の湖で繁殖して在来種を危機にさらしている外来魚も,釣ったらリリース (これは釣り用語) しなければいけないことになる.沖縄のマングースも同様だ(*).在来種の絶滅は受忍すべきなのか.
 このように,生き物との共生には難しい問題が存在する.これらの生き物と犬や猫をどこで線引きするのか,常識的で穏やかな論理が必要だ.

(*) ついでに言うなら,里山に出没するクマ,シカ,イノシシは,「遺棄」も「リリース」も区別できないよ,一緒じゃないかと (笑).

 グリーンNetの用語では,保健所が犬猫を殺処分することを「処刑」といい,野良猫を「自立した猫」といっている.「処刑」だと猫に罪があることになってしまうが,日本語としてヘンだとは思わないのだろうか.また彼らは,野良猫は「餌やりさん」(これまた彼らの用語) がいなければ生きていけないのだとブログに書いているが,それでは自立していないとしか私には思えない.
 私は,犬や猫の殺処分を減らすために奮闘している人々や,東北の震災で飼い主を失って放浪している犬や猫の救出を行ってきた個人や団体を心から尊敬するものであるが,それと,このグリーンNet は分けて考える必要がありそうだ.広くブログで動物愛護を社会に訴えるならば,身内だけの特殊な言葉でなく普通の言葉で,普通の論理で,少しでも多くの人の共感を得られるように語るべきだろう.ま,そんな事情のようなので,この事件に関心を持った私が愚かだった.世の中には色んなカルトがあるものだ.

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2013年11月26日 (火)

掲示板で調査なんて

 某新聞社の妄想系掲示板に「大晦日にはどんな魚及び食事を召し上がりますか 」というトピが立てられている.トピ主は,私が9月29日の「正月三が日うどん」という記事で,「某掲示板に,正月三が日の朝に雑煮ではなく,うどんを食う地域はあるかという質問トピが立っている」と書いたのと同じトピ主である.

 このトピにおけるレスの中で,“秋田おばこ”というハンドルネームの秋田県人が《(正月に) お雑煮を食べる習慣はありませんでした。秋田と言っても色々なので、我が家だけかもしれません》と書いている.それに対してトピ主は《お餅を召し上がらない・・そういえば、当地方でも3が日朝、うどんなどという地域もあります。「年明けうどん」のルーツでしょうか。》と個別のトピ主レスを返している.
 このトピ主は,他の人のレスに対しても,相変わらず正月のうどんの件を持ち出している.前のトピに続いてこのトピでも,どうあっても正月にうどんを食うのは伝統ある食習慣だと言いたいらしい.

 きっとこのトピ主は他の掲示板やブログで,もっともらしく「秋田では正月に餅を食べない」などと吹聴するであろう.ネット掲示板のレスなんぞはアンケート調査のうちに入らないという基本的な認識に欠けているのであるが,困ったことである.

 余談であるが,日本各地の食習慣について,ネットを用いたアンケート調査を本格的に実行したのは,日経の特別編集委員・野瀬泰申氏である.野瀬氏は,ネットによるアンケートの有効性も限界 (つまり調査結果には強いバイアスがかかっているということ) も承知した上で実施し,これまで色々な成果を上げた.結果は今もネット上でバックナンバーを読むことができるし,何冊かの書籍として出版されてもいる.上記のトピ主は野瀬氏の仕事を知らぬことが発言から明らかである.

 さて秋田の正月料理については,“秋田おばこ”氏が《お雑煮を食べる習慣はありませんでした。秋田と言っても色々なので、我が家だけかもしれません》とレスをつけている,まさにその通り秋田には雑煮の食文化が存在する.農水省のサイトに「全国お雑煮ガイド」というコンテンツがあり,そこに伝承料理研究家の奥村彪氏が寄稿して,秋田の雑煮の例を画像入りで紹介しているほどである.
 さらに,もっと詳しい調査研究として秋田大学の藤千恵氏の論文『全国と秋田県沿岸部における正月雑煮の地域的特色』がある.

 正月の雑煮食文化 (註) が存在しないのは沖縄県のみであるという基本知識を持っていないと,このトピ主のように,「うちでは雑煮は食べなかった」との個別の家庭事情に一々反応してしまう.トピ主はネット掲示板,それも編集者による検閲という強力なバイアスがかかった某新聞社の掲示板上で何か調査ができるかのような気分でいるようだが,大きな心得違いである.

(註) 東日本には,餅を禁忌としてイモを用いる雑煮があり,それに関する食文化的論考も多い.

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2013年11月25日 (月)

不可解な事件

 読売新聞 (11月23日) によると,三重県警四日市北署は同県川越町の男性職員二人を,捕獲した猫を捨てたとして,動物愛護法違反 (遺棄) の疑いで津地検四日市支部に書類送検した.
 四日市北署の説明では,職員二人は昨年の10~11月にかけて,住民からの苦情を受けて捕獲したり引き取った猫三匹を四日市市山村町の山林に放したという.
 川越町では従来,捕獲した猫を県桑名保健所に送っており,三重県内では昨年度,2978匹の猫が殺処分されている.
 職員二人が猫を山林に放したのは,殺処分されるのがかわいそうだと思ったからだと川越町環境交通課は説明している.

 さてここで奇妙なのは,職員二人を県警に告発したのが動物愛護団体のNPO法人・グリーンNet (三重県鈴鹿市) だというところである.すなわち新聞記事をストレートに解釈すると,動物愛護団体が,猫三匹を殺処分送りにするよう警察に求めたということになる.
 一体これはどういうことか.この事件の意味するところが理解不能なので,ネットを検索してみた.
 すると昨年の秋に次のような事件があったと,複数の掲示板に書かれていることがわかった.
(1) 三重県亀山市みどり町で,野良猫が増えすぎて住民から苦情がでた.
(2) 行政機関で相談して,捕獲して保健所へ送ると決めた.
(3) グリーンNetが猫を保健所へ送るなと言って,町が捕獲した猫全数を引き取った.
(4) ところがグリーンNetは引き取った猫を町の中に放した.
(5) その結果,野良猫の被害は減らず,グリーンNetは三重県から事情聴取を受けた.

 掲示板に書かれている件については,グリーンNetのブログには何も載っていない.ただし川越町の件については,次のような記事が載っている.
《遺棄された猫は、ご飯をくれていた飼い主も餌やりさんも失います。「逃がした」と言えば聞こえはいいですが、遺棄は、飢えに苦しみ死に至らしめる犯罪です。》

 掲示板に書かれていることが事実なら,《「逃がした」と言えば聞こえはいいですが、遺棄は、飢えに苦しみ死に至らしめる犯罪です》は自分達がやったことではないか.
 だとすると県警に告発した動機は「私達がみどり町で猫を放したのをいけないと言うなら,川越町の職員だって同じ事をやっているから不公平だ,許せない」ということだろうか.
 掲示板に書かれていることがデマだったとすると,(掲示板にはデマだという書き込みもある),グリーンNetの告発の意図は「逃がしたと言えば聞こえはいいですが,遺棄は飢えに苦しみ死に至らしめる犯罪です.そもそも職員らが野良猫を捕獲したことがいけないのです」なのだろうか.確かに後者の見地に関してグリーンNetは,野良猫による住民の被害は受忍すべきである,捕獲してはならぬと主張している.

 ネット上は新聞報道を拡散する記事であふれていて,理解に必要な告発内容に関する資料が見当たらないので私の感想は控えるが,もしかしたらグリーンNetは川越町職員による「捕獲」を告発したつもりなのかも知れない.だがしかし警察は職員を「遺棄」で送検したことが結果として残った.ブログにはなんのアナウンスもないが,上に書いたように,グリーンNetの意図はどうあれ,事実上これは動物愛護団体が野良猫を殺処分送りにするよう警察に求めたということになる.この結果についてグリーンNetは満足しているのか.どうも動物愛護団体の世界はよくわからない.

関連記事  「不可解な事件 その二

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2013年11月24日 (日)

アクセスの多い記事

 私のブログのアクセス解析をみていると,次の三記事へのアクセス件数が多い.
(1) 「葬式で嘔吐する女
(2) 「三里四方に
(3) 「さつま汁」と「さつま汁 ふたたび
あとはゴードー焼酎,パワーヘルス,高齢者の性格特性についての記事が上の三つに続いている.

 このうちで「葬式で嘔吐する女」だが,どうやらこれは「嘔吐+女」で検索した結果によって訪問されているようである.
 困ったことに「嘔吐+女」は,私の知らない世界であるグロ方面の皆さんの関心事らしい.私の文章は検索結果の十二番目にヒットして,検索結果の中で違和感ありまくりの状態になっている.(涙)

 次の「三里四方に」であるが,これは書きぶりが少し穏やかに過ぎたと反省している.ほんとは食文化における都市伝説,あるいはオカルトとして,「三里四方のものを食え」をもっと批判的に書けばよかったと思う.この言葉と帝国陸軍との関係等について続編を書きたい.

 さつま汁については,「さつま汁 ふたたび」を書いたあとで見つけた文献があるので,これも近いうちに続きを書くことにしている.

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転落

 取り沙汰されている猪瀬知事の問題について,NHK NEWS WEB (11月23日 4:50) を基にまとめてみると以下のようである.

 東京都の猪瀬知事が去年の知事選挙の前に,医療法人徳洲会グループから五千万円受け取っていた.これについて猪瀬知事は,(1) 11月上旬に徳洲会の徳田虎雄前理事長に面会し,選挙への支援を要請した, (2) 資金の授受は徳洲会からの申し出であった,(3) 厚意を断るのは失礼だと考えて借りた,(4) 五千万円という額になった理由はわからない (筆者註;金額は徳洲会が決めた,という意味と思われる) と発言している.
 これに対して徳洲会側は,(5) 徳田虎雄前理事長の次男である徳田毅衆議院議員に猪瀬氏から一億円の借入金要請があった,(6) 徳田議員がこれを徳田前理事長に伝えたところ,前理事長から「五千万円で対応しろ」「足がつかないよう議員会館で渡せ」と指示した,と発言している.

 上のNHKの報道に対して,TBSニュース (11月23日15:47) では,
(記者) 知事が一億五千万円を要求した事実はあるか.
(知事) それは一切ない.
として,一億円が一億五千万円にふくれあがっている.同じ記者会見の記事なのに,この始末はどういうことだ.
 調べてみると,一億五千万円としているのはTBSだけのようである.他の報道機関が猪瀬知事に殺到して「一億円の借り入れを申し込んだのか」と質問して「それは一切ない」と答える中で,TBSだけが「一億五千万円の借り入れを申し込んだのか」と質問し,同様に知事は「それは一切ない」と答えたのだろうか.
 こんなずさんな報道でいいなら,仮に「二億円の借り入れを申し込んだのか」との質問に対して知事が「それは一切ない」と答えたら,「知事は二億円を申し込んだことを否定」と書いていいことになる.これが三億でも四億でも一緒.馬鹿じゃないか,TBSは.

 それはともかく,石原前知事と猪瀬知事は似ている.つまり作家の世界における一発屋.
 猪瀬知事は1946年11月20日,長野県飯山市の生まれ.Wikipedia【猪瀬直樹】によると,信州大学在学中は革命的共産主義者同盟に属した.1969年には信州大学全共闘議長をつとめている.しかし2001年に小泉内閣の行革断行評議会に名を連ねたあたりから権力志向を顕わにし始めた.このブレブレ転向人生には大変興味がもたれる.ナベツネ氏と猪瀬氏について誰か『共同研究 転向』の続きを書いてくれないかと思う.

 同世代の作家に関川夏央 (1949年11月25日新潟県長岡市生まれ),山口文憲 (1949年11月25日静岡県浜松市生まれ),呉智英 (1946年9月19日愛知県西枇杷島町生まれ),沢木耕太郎 (1947年11月29日東京都大田区生まれ) がいて,こちらの諸氏は猪瀬知事のような大ブレ人生ではない.私の書架には関川,山口,沢木氏らの著作があるが,猪瀬直樹『ミカドの肖像』は昔買って読んではみたものの,すぐゴミ箱に捨てた.ま,そういう作家であるということで.

【関連記事】
知事の手帳(12/15)
知事 進退窮まる(12/19)

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2013年11月23日 (土)

蚕のこと

 毎日新聞 (11月22日) によると,来年二月にパリで,皇室による養蚕を紹介する展覧会が開催されるのだそうだ.
 皇室による養蚕のことは時折耳にするけれど,実際のところは詳しくわからない.記事によると《皇室では明治期以来、歴代皇后が養蚕を引き継いでおり、「小石丸」という古くから国内で飼育されながら極めて希少になった蚕を皇后さまが育てている》というから,皇室の養蚕自体はそれほど起源の古い話ではない.ただし「小石丸」という飼育種が歴史的にどこまで遡るものなのか興味の持たれるところだ.今もこの「小石丸」から採った繭で正倉院宝物の復元がなされているというから,相当に歴史ある蚕なのだろう.
 今の皇室の様子から推察するに,皇室における養蚕は美智子皇后の代で途絶えるかも知れないが,「小石丸」の保存はどうなるのだろう.

 私の郷里である群馬県の養蚕業は,その隆盛は江戸期に遡るのだそうである.それで明治期には富岡に,殖産興業の象徴のようにして,大きな官営製糸場が作られたりした.
 戦後は群馬の養蚕はすっかり衰えた.私の姉が嫁いだ農家でも,今は趣味的なレベルでしか養蚕をしていない.
 それでも私が小学校時代には,季節になると通学路のそこかしこの家で,繭を煮る臭い (かなりの悪臭) がしたものだ.これは普通の民家でもやっていたから,養蚕農家で作られた繭から絹糸を紡ぐ下請け内職のようなものがあったのだろう.今となっては確かめようもないことではある.
 さてある日,学校の帰りに興味津々でその民家の一軒を覗いてみると,今なら民俗博物館にでも展示されていそうな手回しの糸車を回し,おばあさんが糸を紡いでいた.
 話は横に逸れるが,糸車については面白いことがあって,『眠れる森の美女』で主人公の王女は「指を糸車で刺して死ぬ」という呪いをかけられて長い眠りにつくのであるが,実は糸車には指を刺すような部分がないのである.
 ちなみに Wikipedia 【眠れる森の美女】から物語を抜粋してみると次のようである.
 あるところに子どもを欲しがっている国王夫妻がいたが,ようやく女の子を授かったので祝宴に十二人の魔法使いが呼ばれた.魔法使いはそれぞれ魔法を用いた贈り物をするが,その途中で,祝宴に一人だけ呼ばれなかった十三人目の魔法使いが現れて「王女は紡錘が刺さって死ぬ」という呪いをかける.まだ魔法をかけていなかった十二目の魔法使いがこれを修正し,「王女は紡錘が刺さり百年間眠りにつく」という呪いに変えた.呪いを取り消さなかったのは修正する以外に方法がなかったためである。
 王女にかけられた呪いを心配した王は国中の糸車を燃やさせてしまう.ところが王女は十五歳の時に一人で城の中を歩いていて塔の上に上ってしまい,塔の一番上で老婆が紡いでいた紡錘で手を刺し,眠りに落ちてしまう.塔は呪いによって茨が繁茂して誰も入れなくなった.
 さて百年後に,近くの国の王子が噂を聞いて城を訪れる.ここから先は黄金のパターンで,王子がキスをして王女は目を覚まし,結婚して幸せな生活を送ったとさ.よかったよかった.

 というのが『眠れる森の美女』のお話であるが,問題は紡錘 (スピンドル) である.上に書いたように紡錘には別段尖った部分はないから,どうすれば指に刺さるかがわからないのである.
 ここら辺のことは Wikipedia【糸車】の「物語の中の糸車」節にあるので,興味ある向きはどうぞ.
 またこの節には,
《英語の「spinster」という語は優れた紡ぎ手を指す古語だが、後に結婚しない女性のことも指すようになった(糸紡ぎの仕事で結婚しなくとも自活できるとの意味)。》
とも書かれている.
 少年の私が民家で見かけた糸を紡ぐおばあさんは,たぶん戦前の少女の頃から絹糸を紡いできた熟練の spinster で,だから誤って紡錘を指に刺して眠ってしまうようなことはなく,白馬の王子様にキスされることもなかっただろう.しかしやがてその spinster は,もう一つの語義とは異なって嫁ぎ,そして子や孫に恵まれ,老いたその日もゆっくりと糸車を回しながら糸を紡いでいたのだろう.私の記憶の中の糸車は,そういう光景の中にある.

 で,養蚕といえば桑畑だ.私の生まれ育ったのは都市部であるが,それでも家から少し歩けば広い桑畑があった.
 の実は初夏に熟する.まだきれいな赤い色をした実はちょっと酸っぱいが,熟した桑の実は赤黒くなり,甘くて美味しい.
 桑の実のことを群馬の方言でドドメという.だから,脚などを打撲して内出血した部分の赤黒い色を,ドドメ色と呼んでいた.今もドドメ色なんて言葉は残っているのだろうか.
 そう思って検索してみたら, Wikipedia に【どどめ色】という項目があった.引用出典のない記述であるが,こう書かれている.
《この言葉は人や地方によって解釈が異なるものであるが、主には桑の実が関連する色である。「どどめ」とは、埼玉県や群馬県など関東の養蚕が盛んな地域で古くから使われている方言であり、蚕のエサである桑になる実の事を指す。それが転じてどどめ色は桑の実の色として使われる。桑の実は熟すにつれて赤色から黒紫色へと変化するため、人によって意味する色が異なる原因にもなっている。また比喩表現としては特に熟した桑の果実を潰した際に紫色の汁が皮膚に付いたその状態にちなんで、青ざめた唇や青アザになった皮膚を表現する。》

 概ね,その通りである.しかしこの項目の残りの記述は全くの独自研究なので,無視されるがよかろうと思う.(--;)
 このドドメを食べると,舌が紫色に染まる.子供達の舌を見れば,桑畑に入り込んでドドメを食べたことがすぐわかるのだった.
 桑畑で遊んで家に帰ると,喉が渇いた子供達は母親にジュースをねだるのだけれど,そのジュースは「ワタナベのジュースの素」であり,これは香料で果汁の風味をつけた粉末ソーダであって,飲むとこれも舌に色がつくのであるが,今ならとても許されない着色料を使用していたとおもわれ,父さん,ぼくは泣けてしかたありませんでした.れいちゃん,富良野はもう雪です.こらこら.

(註;話がとりとめなくなって収拾がつかないときに便利な「とおもわれ,父さん,ぼくは泣けてしかたありませんでした.れいちゃん,富良野はもう雪です」は『北の国から』がネタであるけれど,検索すると昔私の書いたものがいくつもヒットする.検索エンジンとはすごいものだと感心するが,同じフレーズを今も使い続けている私もすごい.こらこら)

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2013年11月22日 (金)

南蛮

 朝日新聞DIGITAL (11月17日) によれば,宮崎県延岡の料理「チキン南蛮」が,来月改訂の三省堂国語辞典に載るという.これがどんなものか私は知らなかった.

 クックパッドを調べたらレシピがたくさんあり,「一番人気!チキン南蛮!」と題したレシピが載ってたので見てみた.
 そのキャプションは《宮崎名物の本場のチキン南蛮です!カフェをしていたときの一番人気でした!本格的な味です》
 うー,チキン南蛮てのはおしゃれなカフェのメニューなのか.
 その本格的で本場な材料欄には以下のように書いてあるので引用してみる.
---------------------
■(南蛮酢)
しょうゆ 大さじ4
砂糖   大さじ6
酢    大さじ5
【大人用】小口切りの唐辛子 少々
【子供用】ケチャップ    小さじ1
---------------------

 また「宮崎発!簡単・美味しいチキン南蛮」には鶏の唐揚げを漬ける調味料として
---------------------
☆砂糖大さじ6
☆醤油50~60cc
☆酢(今回はやさしいお酢)60cc
---------------------
と書いてある.なんでもかんでも「簡単」にしてしまうのがクックパッドだが,これに漬けた鶏の唐揚げに,タルタルソースをかけるわけだ.

 でも,いずれも宮崎のご当地料理「チキン南蛮」をうたっているが,これって南蛮漬けに使う「南蛮酢」かなあ.ただの甘酢のような気がするのは私だけ? そこら辺の大衆中華料理屋の定番である油淋鶏とどう違うの?

 東日本の蕎麦屋というか東京の蕎麦屋というか,昔は蕎麦屋で「南蛮」といえば根深ネギのことだった.鴨蕎麦なら鴨だけだが,鴨南蛮には根深ネギが入る.鶏南蛮,肉南蛮,カレー南蛮 (うどんでなく蕎麦) も同じ.根深ネギなしなら,それぞれ肉蕎麦,カレー蕎麦といった.(鶏蕎麦というのはみたことない)
 だから南蛮漬けは,砂糖を加えた酢醤油に根深ネギ (と鷹の爪) を入れた漬け汁が元々のものではないかと思う.まあしかし今は根深ネギではなくタマネギを使うのが普通かも知れない.マリネへの先祖返りかな.スーパーの惣菜売場にある鯵の南蛮漬けはみなそうだ.

 タマネギといえば,今はカレーうどんはもちろんのこと,カレー南蛮にタマネギを使っていたり,下手をするとジャガイモまで入れてあったりして,これはもう何がなんだかわからないとおもわれ,父さん,ぼくは泣けてしかたありませんでした.れいちゃん,富良野はもう雪です. こらこら.

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2013年11月21日 (木)

巨星

 報道によれば,英国の生化学者フレデリック・サンガー英ケンブリッジ大名誉教授が19日に逝去された.
 理系の爺さんやお父さんでフレデリック・サンガーの名を知らぬ者はいないであろう.
 氏はインスリンの構造研究で1958年にノーベル化学賞を受賞し,1980年には核酸の塩基配列の決定法で二度目の化学賞を受賞した.
 二度同賞を受けた人はサンガー氏のみ.巨星墜つ.

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笹団子食いたい その二

 前の記事「笹団子食いたい」の続き.ネット通販している製造業者の笹団子,特にその原材料について調べてみた.以下に列挙する.

業者A
原材料 もち粉,上新粉,つぶあん,砂糖,小麦粉,よもぎ,調味料(アミノ酸等)

業者B 商品説明「無着色」「保存料なし」
原材料 もち米,うるち米,よもぎ,小麦粉,小豆,砂糖,澱粉,乳化剤

業者C
原材料 上新粉,砂糖,あずき,もち粉,麦芽糖,よもぎ,白玉粉

業者D
原材料 国産もち粉,小豆(北海道産),砂糖,国産上新粉,国産ヨモギ,食塩,トレハロース(原材料の一部に小麦を含む)

業者E
原材料 砂糖,もち米(こがねもち),小豆(北海道産),よもぎ(新潟県産),白玉粉,うるち米(コシヒカリ),食塩,トレハロース,乳化剤,(原材料の一部に大豆を含む)

業者F 商品説明「生地30gあたり約2%の小麦粉を使用しております。アレルギーの方はご注意ください」
原材料 小豆餡,もち米,うるち米,小麦粉,トレハロース,よもぎ

業者G
原材料 もち粉(新潟産),しん粉(新潟産),あんこ(こしあん),よもぎ(新潟産),水あめ

業者H
原材料 餅粉,砂糖,餡,塩,蓮草,植物性蛋白,乳化蛋白,乳化剤,澱粉発酵糖,着色料 (青1,黄4),グリシン

業者I 商品説明「アレルゲン表記 B-アミラーゼ(大豆・小麦粉由来)」
原材料 北海道産小豆,新潟県内さ産コシヒカリ,白双糖,よもぎ,グリシン,B−アミラーゼ(大豆、小麦由来)   (註;誤記はそのまま記載)

業者J
原材料名 だんご生地/もち米,うるち粉,砂糖,麦芽糖,よもぎ,でんぷん,グリシン,小麦粉,植物油(大豆由来),β‐アミラーゼ(大豆由来)  あん/あずき,砂糖,寒天

 業者Aの表示に書かれている「調味料(アミノ酸等)」とは,要するにグリシンである.食品を日持ちさせるためにグリシンが有用な添加物であることは間違いないが,その大きな欠点は,まずい,ということである.グリシンはコンビニ弁当で多用されているが,敏感な人はグリシンと表示されているものは忌避するであろう.それで製造者としてはグリシンと表示したくないので,「調味料(アミノ酸等)」と書いているのが実情である.おそらく業者Aの笹団子はうまくないはずである.

 食品添加物全般を忌避する必要は全くない.例えばトレハロース.
Wikipedia【トレハロース】から抜粋
《和・洋菓子、パン、惣菜、水産加工品、畜産加工品、レトルト食品、冷凍食品、飲料などの加工食品から中食、外食、家庭での調理まで様々な食品で使用されている。これはトレハロースがさっぱりとした上品な甘味を呈すること、食品の三大栄養素である炭水化物(でん粉など)、蛋白質、脂質に対して品質保持効果を発揮すること、また強力な水和力により乾燥や凍結からも食品を守り食感を保つこと、矯味矯臭効果により苦味や渋味、えぐ味、生臭み、けもの臭、レトルト臭などを抑えるなど多様な作用による複合的効果が期待できるためである。》

 業者D,業者Eと業者Fの製品はトレハロースの保水力を利用して,団子が乾燥せず日持ちするようにしている.
 笹団子は購入後に冷凍庫で保存できるが,保存中に乾燥してしまうおそれがあるので,それを防ごうとしているのだろう.トレハロースは味と食感に影響しないと思うが,私は買ったら冷凍せずにすぐ食べるので,その意味でトレハロースが必要だと思わない.しかし冷凍保存したい人には業者Fの製品はいいだろう.

 トレハロースはそういうことだが,業者Eはその他に乳化剤を使っているのがいただけない.乳化剤は味と食感に影響しないとは言い切れないので,使用しないで済めばそのほうがいい.
 笹団子の冷凍耐性は,酵素のアミラーゼでも向上させることが可能で,その方法は業者IとJが用いている.ただしこの方法は団子の食感に影響するだろう.また,この製造者の使用しているグリシンについては上に述べた.

 業者Bは,原材料に上しん粉やもち粉でなく,もち米とうるち米と書いている.これは米の粉を自家製粉しているという意味のようだ.また「無着色」「保存料なし」を標榜していて,それはそれで結構なことだが,わざわざ強調して言うほどのことかと思う.粗悪な笹団子がたくさん流通しているのならともかく,少なくとも通販で購入できる笹団子では,着色料でヨモギを代替している粗悪な製品 (例えばH) は少ないからだ.それからこの業者が乳化剤を使用しているのは残念なことである.本来の笹団子にそんなものは使用しないからだ.

 それで結局,できるだけ素朴な味と食感を求めて私が通販注文したのは,業者Gの笹団子である.それが一昨日届いた.(食品添加物は大変有用なものである.しかし使わなくても済むならば,使用しないほうが好ましい.添加物の使用と美味しさを両立させるには,技術力が必要だからである)
 早速ぺろりと二つ食べてしまったが,新潟の人々が昔から家庭で作っていた笹団子の雰囲気がした.

 父上様母上様 笹団子美味しうございました 万作はもうすっかり満腹になってしまって食えません 何卒 お許し下さい  こらこら.

関連記事 「笹団子食いたい

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2013年11月20日 (水)

もんじゅ

 昨日の読売新聞の報道によると,桜田義孝文部科学副大臣は18日,西川福井県知事や河瀬敦賀市長を訪ね,文科省内に「もんじゅ改革推進本部」を設置したことを伝えた.
 これは日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市) の機器1万4316件で点検漏れがあったことを受けたもの.推進本部の本部長は桜田副大臣が務める.
 福井県知事などとの面談で桜田副大臣は「もんじゅは日本のエネルギー政策や経済活動を支える極めて大事な施設」であると述べたと伝えられるが,この桜田副大臣という人は先月10月5日に,東電福島第一原発の事故によって発生した放射性物質を含む焼却灰の処分を「人の住めなくなった福島に置けばいい」という趣旨の発言をして,菅官房長官に「誤解を与えるような発言は慎むように」と注意を受けた軽率な人である.

 一般の製造業と高速増殖炉とでは,規模も分野も異なりはするが,機器の点検といえば品質マネジメントシステムの問題であると考えてよかろう (規模と分野にかかわらず適用されるのが品質マネジメントシステムだから).機器に点検漏れがあるということは,つまり「もんじゅ」には品質マネジメントシステムが構築されていないということである.JR北海道と同じ問題を抱えていると言っていい.
 品質マネジメントシステムの思想は単純明快なものであるが,その思想を血肉として身につけ,「もんじゅ」において具体的にシステムを構築・維持するには,おそらく数年はかかる時間と,忍耐強い努力が必要である.軽率な人間には無理である.
 桜田副大臣の経歴と言動からして,高速増殖炉の品質マネジメントシステム構築を指導監督できる人物とは到底思われない (文部科学副大臣として務まるとも思われないが).はたして「もんじゅ」の行く末は大丈夫か.

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2013年11月19日 (火)

撃ちまくる西部劇

川上伝説 その二」(11月10日掲載)で書いた堀井憲一郎の『ホリイのずんずん調査 かつて誰も調べなかった100の謎』を,昨日読了した.
 これは,1995年から2011年まで792回にわたって週刊文春で連載した『ホリイのずんずん調査』から百本を選んだ選集である.全511ページある厚い本だ.帯のコピーに「役には立たないが何故だか面白い天下の奇書、堂々完成」とある.

 私は昔から週刊文春の読者だが,たまに買い損ねることもあったから,『ホリイのずんずん調査』も連載時に読み損ねて,今回初めて読んだものがいくつかあった.
 その一つが「西部劇で発砲されている弾の数を数えてみる」(週刊文春2010年2月25日号)である.
 これは『平原児』(1936)『駅馬車』(1939)あたりから始めて『リオ・ブラボー』(1959)まで,二十本の西部劇中で撃たれた弾の数を数えた調査であるが,発砲数が多いのは,対インディアン戦が中心の作品であったという結果である.
 少し長いが以下に引用する.
《19世紀のアメリカ人にとってインディアンは明確な敵なので、とにかく派手に撃ち合っていいのだ。この、インディアン相手ならいくらでも撃つという姿勢がやがて西部劇を衰退させていくわけだけど、でもこれが19世紀から20世紀半ばにかけてのアメリカ人の偽らざる心情だろう。ここを隠蔽すると、ろくなことにならないとおもうが、今さら言っても遅いですね。ろくなことになってないです。今でも世界中でインディアンを探しまわってます。》

 以下は次の週の「西部劇は対立とともに」(2010年3月4日号)からの引用.
《この、インディアン掃討の歴史と自信が (そしてその原罪意識が) 国外戦でも敵のゲリラ戦を招き、ベトナムでもアフガンでもイラクでも、状況を泥沼化させていったんじゃないだろうか。西部劇を見てると、そう思ってしまいます。》

 次は『かつて誰も調べなかった100の謎』にある追記.
《アメリカ人のメンタリティを確認するには、昔の西部劇を見ればよくわかる、ということは言えると思う。ベトナム戦争がうまくいかなくなったころから、痛快単純な西部劇は作られなくなりましたね。ベトナムもたぶん、アメリカのフロンティアスピリッツの一端だったんでしょう。》

 長々と引用したが,これで思い出したのは,十年前,私がブログ開設前に個人サイトに載せた次の文章である.全文を以下に再掲載する.

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2003年3月30日
アパッチ

 米国陸軍に“アパッチ”という戦闘ヘリコプターがある.その名は,アパッチ・インディアンの勇猛さに因んだものだろう.初期型は正式名称 AH-64A といい,1991年の湾岸戦争で初めて実戦に投入され,数百台のイラク軍装甲車を撃破するなどして名を馳せた.私もそうだが,当時の中継映像でこれを初めて見た人は多いだろう.
 その後もアメリカ映画に頻繁に登場している.最新機は AH-64D で,ロングボウ・アパッチという.すなわち長い弓を持ったアパッチ.空対空ミサイルや対戦車ミサイル,ロケット砲,毎分625発を発射可能な30ミリ機関砲を備えている.さらに,可動式テレビカメラや赤外線センサー,8キロ先にある128の標的から危険度の高い16の標的を検出できる機能を有する最新型レーダーを装備し,ハイテクの塊みたいな代物である.
 この AH-64D “アパッチ”戦闘ヘリコプターが,イラク軍との戦闘で苦戦している.毎日新聞(3月26日付朝刊) によれば,米軍は3月23日夜から24日の未明にかけて,バグダッド南東カルバラ付近に布陣していたイラク共和国防衛隊メディナ師団の戦車や火砲を攻撃した.戦闘には世界最強を誇る“アパッチ”が三十数機参加したが,そのうち一機が墜落または不時着して乗員二人がイラク側の捕虜になった.
 戦闘ヘリ部隊は地対空ミサイルの攻撃を避けるため低空を飛行し,イラク軍戦車や装甲兵員輸送車など計10両程度を破壊したが,突然,民家の屋根や裏庭などから対空機関砲や小銃などの集中攻撃を受けた.“アパッチ”編隊は30ミリ機関砲やロケット砲で応戦したが,被弾して負傷する乗員がでる,油圧システムを破壊されて攻撃不能に陥る,ロケット砲の発射装置に着弾して発火する,などして退避を余儀なくされた.ハイテク必ずしも無敵ならずということか.

 十年ほど前のことだが,ヴェトナムのホー・チ・ミン市,すなわち旧サイゴンを訪れたことがある.ここにはヴェトナム戦争の記念館があり,その庭に米軍の小型機の残骸が展示されていた.これは民族解放戦線(註1) の兵士が撃ち落としたものだとガイドさんが説明してくれた.当時も米軍は最新最強の軍事力を誇っていたのだが,ローテク軽火器で撃墜されることもあったらしい.私の学生時代はヴェトナム反戦運動が高揚しており,大学内で上映された記録映画で,密林から射撃されて墜落する米軍機を見た.滅多にないことだったろうが,敗退を続ける米軍を象徴するそのシーンは,その後も何度も目にする機会があった.

 そのヴェトナム旅行の数年前,当時所属していたアメリカの学会の年次大会に出席するため,私はアリゾナ州の州都であり観光地として有名なフェニックス市に出かけた.現在はどうか知らないが,その旅行で到着したフェニックスは,人口は多いが,日本でいえば地方の県庁所在地のような静かな都市だった.
 ガイドブックを見ると街外れにアメリカ・インディアンに関するミュージアムがあるというので,学会に出席した日本人数人と一緒に,講演の合間をみて見学に行ってみた.
 そもそもフェニックスは,白人が侵略する前にこの土地に住んでいたインディアンの先史文化 (ホホカム文化) の遺跡の上に,白人開拓者が新しい都市を建設して「不死鳥」を意味する地名をつけたのが始まりである.アリゾナの州名はホホカムを先祖とするパパゴ族インディアンの言葉で「小さな泉」を意味する arizonac に由来し,現在もナバホ族などの居留地が多く,インディアン人口は全米三位であるが,フェニックス市のミュージアムは先史文化の美術館であって合衆国陸軍と戦ったアメリカ・インディアンに関するものではなかったようだ.「ようだ」というのは,当たり前だが展示品の説明が全部英語だったからである.(^^;)
 現在主にアリゾナ州に居留するナバホ族と共に,北米の北方森林地帯からロッキー山脈東麓沿いに南下したのがアパッチ族であり,その名が米国陸軍の戦闘ヘリに付けられているのである.

 私が小学生の頃は,テレビでも映画でも西部劇が華やかな時代で,それにはアメリカ・インディアン諸部族と戦いを繰り広げる騎兵隊がよく登場したものだ.私が覚えている騎兵隊のイメージは,次のようなものである.
 西へ西へと旅を続ける幌馬車隊にインディアンが襲いかかる.馬の上から矢を放ち,あるいは降り立って斧を振るうインディアン.絶体絶命のその時,ジョン・ウェイン率いる騎兵隊が駆けつける.勇猛果敢なインディアンも武装騎兵隊の敵ではなく,乱戦ののちに引き上げて行き,危機を脱した幌馬車隊のヒロインに騎兵隊隊長が微笑みかける.
 そういう映画があったわけではなく,かなりいい加減なでっち上げだが,騎兵隊なんてのは,まあそんなところである.騎兵隊は正義の味方だったのだ.
 ところがある日,私の住む田舎町のデパートで「大インディアン展」みたいな催事があった.中学生の私は友達と一緒にその展示を見に出かけた.催事階の壁に掛けられたパネルに記述されていたのは,正義の味方などではない,先住民族の圧殺に活躍する騎兵隊の姿だった.そして一際大きいパネルには「リトル・ビッグホーン川の戦い」が描かれていた.
 アメリカ合衆国の軍人,G.A.カスターは,南北戦争後に第七騎兵隊(註2) 中佐として西部の対インディアン戦争に従事していた.第二次・スー戦争(1875年) が勃発した翌年,カスター中佐は A.H.テリー将軍の指揮するインディアン討伐軍の部隊長として,スー族・シャイアン族連合軍の討伐に出陣した.カスターの部隊はその年の6月25日,モンタナ州の南部,リトル・ビッグホーン川の川辺で宿営していたクレージー・ホース,シッティング・ブル両酋長率いる大軍に遭遇し,攻撃したが逆に包囲され,二百四十六名の騎兵隊は全滅した.これが「リトル・ビッグホーン川の戦い」である.
 今,記憶を辿ると,この展示会の内容はアメリカ・インディアンの歴史を正確に示していたと思う.私のアメリカ合衆国観は,この展示会で観た少数民族抑圧の悪しきシンボルにして合衆国の悲劇的英雄であるカスター中佐の姿が原型になっているのかも知れない.

 騎兵隊は文字通り馬に乗っていたのだが,その後の自動車,戦車の発達により,機甲部隊として再編制され,熱帯密林を舞台にしたヴェトナム戦争で馬を武装ヘリに乗り換えた航空騎兵“Air Cavalry”となった.最精鋭部隊である第一騎兵師団の部隊章には馬が描かれており,その歴史はかつてカスター中佐が所属した第七騎兵隊に遡る.
 その開拓時代のアメリカ大平原を疾駆した第七騎兵隊は今どこにいるか.ロッキー山脈を越え,太平洋を渡りインド洋の彼方,砂嵐吹きすさぶ砂漠の中をバグダッド目指して進撃している.
 建国以来,アメリカ人は北米大陸を西へ西へ,インディアンを抹殺しながら移動を続けた.西漸運動“Westward movement”だ.彼らの土地と,西に広がる未開の土地との境界を「フロンティア」と呼ぶ.今,彼らのフロンティアはイラクの砂漠に達したが,最前線を飛翔する戦闘ヘリの名が“アパッチ”なのは辻褄が合わないと思う.
--------------------------------------------------------
(註1;正しくは「解放民族戦線」で「民族解放戦線」は誤訳だが,ベトナム戦争当時は「民族解放戦線」と呼ばれていた.)
(註2;このリンクは再録に当たって挿入した.)

 上に再録した私の文章は,ブッシュ大統領が「大量破壊兵器」の存在を求めてイラクに侵攻した戦争の時に書いたものだが,その七年後に堀井憲一郎が『ホリイのずんずん調査』に書いた事とほぼ同趣旨である.
 米国陸軍が,彼らの殺戮の「フロンティア」に投入した戦闘ヘリコプターの名を「アパッチ」としたのは,堀井が《インディアン相手ならいくらでも撃つという姿勢がやがて西部劇を衰退させていくわけだけど、でもこれが19世紀から20世紀半ばにかけてのアメリカ人の偽らざる心情だろう。ここを隠蔽すると、ろくなことにならない》と書いた事と重なる.「アパッチ」という名のヘリコプターは,米国の歴史を隠蔽しているのである.
 日本の海上自衛隊が艦船に「ミズーリ」と命名することがあり得ないように,米軍が自軍戦闘機を「ゼロ」と名付けることはあり得ない.しかるに湾岸戦争で登場した戦闘ヘリ「アパッチ」は,1886年に最終的な降伏をさせた敵の名である.これがアメリカ先住民掃討の歴史の隠蔽でなくてなんだろう.

 昭和の終わり頃だったと記憶するが,日本の子供達に第二次大戦について訊ねると,「日本はアメリカと共にドイツやイタリアと戦った」と多くが答えたという調査結果があった.これは義務教育や高校の日本史で実際上,昭和史を教えないということがもたらした結果と思われる.
 遠い将来,アメリカの子供達は,アパッチ族は米国軍と共に祖国建設を戦ったと言うのだろうか.(米国軍が一部のアパッチ族を戦闘員として使役した史実はある)

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2013年11月18日 (月)

昼下がりの情事

 土曜日の記事「クロワッサンで朝食を」を書いていて「あれ?」と思ったことがある.
 Wikipedia【昼下がりの情事】は,これほどたくさんの人達に愛された映画であるのに記述は驚くほど簡単で,蘊蓄の種になりそうなことは全然書かれていない.あっさりとした粗筋とキャストの紹介だけといっていい.
 百科事典というものの性格上,そういうもんかなあ,と思いつつキャスト欄を見ると次のようである.(一部省略)

役名           俳優           日本語吹き替え
フランク・フラナガン   ゲーリー・クーパー    小川真司
アリアーヌ・シャバッス  オードリー・ヘプバーン  池田昌子
クロード・シャバッス   モーリス・シュヴァリエ  山野史人

 “Maurice Chevalier” を「モーリス・シュヴァリエ」と書くのは,ごく普通の表記だろう.私が「あれ?」と思ったのは「クロード・シャバッス」である.これの綴りは“Claude Chavasse”じゃなかった?
 “Chevalier”を「シュヴァリエ」と書くのなら当然“Chavasse”は「シャヴァッス」だよね,「シュバリエ」なら「シャバッス」がいい,というわけである.
(ちなみに私が持っている1999年発売の日本語字幕版DVDを観なおしてみると,これは「シャバス」となっている)

 他のサイトはどうなのか見てみた.

サイト名    Claude Chavasse      Maurice Chevalier
Movie Walker  クロード・シャヴァッス  モーリス・シュヴァリエ
allcinema   クロード         モーリス・シュヴァリエ
ブログ1    シャバス         モーリス・シュバリエ
ブログ2    クロード         モーリス・シュヴァリエ
ブログ3    クロード         モーリス・シュヴァリエ
……

 どうやら表記の統一がなされていないのは Wikipedia【昼下がりの情事】だけみたいである.

 私は日本語版 Wikipedia の編集に参加したことがないので, Wikipedia における人名表記のルールを知らないのだが,どうなっているのだろう.「ノート」にも何も書かれていない.

関連記事 「クロワッサンで朝食を

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2013年11月17日 (日)

本日の朝食

 今日は取り立てて書くことがないので,本日の朝飯について.
 このあいだの木曜日,仕事帰りにポンパドウルに立ち寄って朝食用のパンを買った.いつもは食パン (パン・ドゥ・ミー) を一斤買うが,たまには別の物を,というわけで,握りこぶしより一回り小さい大きさの丸いフランスパン (名前は忘れた),レーズンとクルミ入りのサワーブロートのようなパン (名前を忘れた),それから雑穀入りのロールパンみたいなもの (これも名前は忘れた) を買った.うー,どうして品名を忘れてしまうのだろう.たぶん,そのパンの見た目,見た目から想像される美味しさ,などと名前が無関係であるからだ.いや無関係は言い過ぎで,私がフランス語を皆目理解できないために名称の意味がわからないせいだ.
 私の場合だが,例えば翻訳小説で登場人物が十人を超すと,途中でわけがわからなくなる.「あれ,こいつは誰だっけ」と前のほうのページにどんどん遡って「あ,父親の弟の妻の息子だった」などと思うことがしばしばである.どういう親戚だ.
 翻訳推理小説では,表紙の次くらいに「主な登場人物」なんてページがあって,いつでも参照できるようになっていることが多い.これは私と同じ低記憶力読者が多いから,翻訳者が読者の便を図ってくれているのだろうか.それとも原作の本自体がそうなっているのだろうか.
純文学系統の本で,登場人物一覧ページがあるのはあまりないだろう.私がロシア文学を全く読んだことがないのは,登場人物をすぐ忘れるという情けない理由による.

 あ,朝飯の話だった.
 ポンパドウルのサイトを覗いて,三つのパンの名前を調べようとしたのだが,人気商品しか紹介されていない.通販ページの「テーブルロールセット」にも含まれていない.いつも棚に陳列されている定番だと思うのだが.
 小さな丸いフランスパンは金曜日の朝食に食べた.それとインスタントのキノコのスープ(註1)と,骨付きハム(註2)のスライスにミニトマトを添えて一枚食べた.ポンパドウルさま,美味しうございました.
 (註1) クノールカップスープ 「ミルク仕立てのきのこのポタージュ」 一食分のエネルギー 61kcal
 (註2) 鎌倉ハムの製品 100グラム650円ほど.うまいけれど高い.おそらく“インジェクション(後述)”はしていない正真正銘のハム.

 余談であるけれど,牛脂注入肉にはミルクカゼインなどが注入されているわけだが,このカゼインによって乳アレルギーの人が発症したらどうすんだよ,死ぬかも知れないぜ,だから牛脂注入肉は肉を偽装した恐ろしい食材なんだ,みたいな事を書いた新聞があった.その伝でいくと,私の冷蔵庫に入っている次のような食材はどうなるのか.

[丸大食品 ロースハム]
名称 ロースハム(スライス)
原材料名 豚ロース肉,還元水あめ,卵たん白,植物性たん白,食塩,ポークブイヨン,昆布エキス,たん白加水分解物,リン酸塩(Na),増粘多糖類,調味料(アミノ酸等),酸化防止剤(ビタミンC),発色剤(亜硝酸Na),カルミン酸色素,香辛料抽出物,(原材料の一部に乳,大豆を含む)

 これを道義的にハムと称してよいかは別として,この原材料表示は,丸大食品の製品に限らない.他のメーカーもほとんど一緒であるが,ここで消費者が知るべきは,普通の安価なハムには卵のたん白質が含まれていることである.その卵たん白質は,植物たん白や調味料と共に水に溶かして,食品加工分野で“インジェクション”と呼ばれる方法で肉に注入される.牛脂注入肉と同じ製造方法である.当然ながら,卵アレルギーの人は食べてはいけない.ではスライスした包装ロースハムは危険な食材なのか.
 今般のレストランにおけるメニュー問題の報道で日本のマスコミがダメなのは,景表法と食品衛生法およびJAS法等食品関連法の問題,食品アレルギーを持つ人と非アレルギーの人に関するアレルギーの問題,それから食品加工技術と料理名表示の問題を,全部一緒くたにして報道していることである.アレルゲンを含む食品や料理は,「一般的に」危険なのではなく,乳や卵等にアレルギーを持つ人にとって危険なのであるからして,問題は「アレルギー表示をどうしたらよいか」なのに,マスコミはホテル等のレストランによる産地偽装の件と一緒にして,景表法違反事件として報道している.
 消費者庁は分かっている.法律間で整合性がとれていないことも当事者だから知っている.消費者庁は自ら次の通知を出しているくらいなのである.
--------------------------------------------------------
アレルギー物質を含む食品に関する表示について
(平成25年9月20日付け消食表第257号)
第1 アレルギー物質を含む食品に関する表示指導要領
………
3 表示方法
………
(8) その他留意事項
………
ク 対面販売や外食産業に係る事業者によって販売される食品は、特定原材料の表示義務を課すものではないが、品書き、メニュー等を通じ、アレルギー疾患を有する者に対する情報提供を充実させるための自主的な取組を講ずることが望ましい。
--------------------------------------------------------

 自主的な取組=行政が指導はしない,望ましい=処罰はしない,と二重に婉曲に書いておきながら,しかるに消費者庁は所管する各法の不備について見解も,整備の方針も示すことなく,レストランに立ち入ってメニューにアレルギー表示をさせようとしているようである.レストランに立ち入って表示指導をするなら,上の通知を廃止してからでなければならぬはずだ.

 立ち入りを受けたレストランは営業停止や閉店するところも出てくるであろう.実質的な処罰である.私は,行政による処罰は法に基づいてなされなければならないと考えるので,この動きを消費者庁の暴走と,このブログに書いている.前にも書いたが,正しい目的は正しい手段によって達成されなければならないと私は考える.

 あ,全然余談になっていない.話は朝飯のことであった.
 さて雑穀のロールパンは土曜日に食べた.前日と同じくハム一枚とブロッコリの茹でたのと,牛乳を添えた.牛乳は小さめのボウルに入れ,これに少しシリアルフレーク(註3)を足してみた.ポンパドウルさま,美味しうございました.
 (註3) ケロッグ オールブラン プレーン

 余談であるけれど,この「美味しうございました」という文言は,かの東京オリンピック銅メダルのランナー,円谷幸吉が遺書に書き残したものである.円谷幸吉の自殺は Wikipedia が《日本のスポーツ史に最大級の痛恨事》と書いている通りであり,また東京オリンピックを知る世代にとって「美味しうございました」は,沢木耕太郎が『敗れざる者たち』所収の「長距離ランナーの遺書」を書いたように,忘れがたい言葉である.例えば降旗康男監督作品『駅』でも円谷の遺書が取り上げられている.ちなみに降旗監督は1934年生まれ.
 さてその遺書の冒頭は「父上様母上様 三日とろろ美味しうございました 干し柿 もちも美味しうございました」である.この「三日とろろ」とはなにか.東北地方南部,特に円谷幸吉の故郷である福島県では,正月の三日にとろろ飯を食べる習慣がある.北関東にも三日とろろの習慣があると書いているブログがあるが,群馬の生まれ育ちである私はそのような習慣は知らない.そこで“三日とろろ 群馬県”で検索してみると,同県太田市にある食品会社の商品「三日とろろ」のことばかりがヒットする.JA群馬のサイトには《「三日とろろ」は主に東北・北関東地方の正月行事で、1月3日にとろろを食べる習慣がある》と書かれているが,農家の習慣なんだろうか.今度の正月に帰省した折りに,農家に嫁いだ姉にきいてみよう.
 正月三日に「三日とろろ」を食べたと書いている群馬県南部の人のブログを一つみつけたが,この御仁は,県南部太田市の産品でありナガイモの類である大和芋と,自然薯の区別も知らぬようで,なんだか群馬の「三日とろろ」は眉唾.

 うー,余談が長すぎる.今朝の朝飯はレーズンとクルミ入りのサワーブロートのようなパンと,丸大ハム製卵たん白入りロースハムとSサイズの卵でハムエッグを作って食べた.ポンパドウルさま,美味しうございました.では.

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2013年11月16日 (土)

景表法拡大解釈 その二

 ホテルレストラン等の外食業における「景表法違反」騒動が,混乱の度を増している.
 騒ぎが一段落したら (落としどころに落ち着いたら) 解説記事を書こうと思っていたのだが,消費者庁の暴走は,そう暢気に構えてもいられない事態になっている.
 すなわち,「ステーキとは牛の一枚肉を焼いた物」という消費者庁の独断的“定義”からすると,日本の洋食屋のメニューにおける「ハンバーグステーキ」「シャリピアンステーキ」「ハムステーキ」「鮭のステーキ」等がすべて景表法違反であるとして消え去ることになる.さらには牛の脂身を配合して作るチェーン店の「ハンバーガー」も景表法違反に問われかねなくなるのである.

 前の記事「権力を握ることの恐ろしさ」で,《法学分野の識者や弁護士等法曹関係者は何をしているのか》と書いたあとで,その弁護士等法曹関係者の書いたものを探していたら,植村幸也氏という弁護士さんのブログに「牛脂注入肉と景表法」と題した記事を発見した.

 この記事は,まことに今回の騒動に関する適切な解説なので,リンクを示しておく.
 この植村弁護士の記事に足りないのは「鮮魚」の取り扱いであるが,それは別途書くことにする.

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クロワッサンで朝食を

 東京ガス都市生活研究所の調査によれば,若年層から高齢層まで,好きな朝食の主食はパンだそうだ.一昨日の読売新聞の記事にそう書かれていた.
 ちなみに昼食の主食については,若年層は米飯を,高齢層は麺類を食べる人が多く,夕食の主食は、どの年代でも米飯の割合が高かったという.

 この調査が対象にした高齢層の上限は七十九歳だが,ほんとに朝食にパンを食べているのかなあ.高齢層の上と下とでは,かなり違うのではないか.そう思って東京ガス都市生活研究所のサイトを覗いてみたが,調査データを見るためには個人情報を入力してファイルをダウンロードする必要があり,そこまでする気になれないので止めた.きっと著作権を無視した引用が,東京ガスの知らぬところで勝手になされるのを防ぐための措置であろう.

 さて私は最近,朝食に食パンのトースト (六枚切を一枚) を主に食べている.あとは茹でた野菜と牛乳.これが勤め人の朝飯としては簡単でよろしい.夕食ならばクラストが堅いフランスパンの類に骨付きハムのスライスを挟んだものが好物だ.
 ただ,パンを食べると,私の場合はそのあとが面倒だ.よく噛んで食べると,パンはグルテンのおかげで粘着性が強いためか,歯間ブラシで歯の掃除が必須なのだ.
 粒食である米飯はその点は楽で,例えば軟らかく炊いた粥なら,歯ブラシと強い嗽 (うがい) でOK.これって手抜きですか.すみませんね歯医者さん.
 それは余談として,フランスパンの類を囓るには歯が丈夫でないといけない.顎の力も嚥下力も必要.となると,私はパンが大好きなのだが,いつまでパンを食べられるのか少し自信がない.

 そういえばヘプバーンの『昼下がりの情事』で,徹夜の張り込み仕事を終えて帰宅した私立探偵の父シャヴァッスの朝食に,娘のアリアーヌがカフェ・オ・レとクロワッサンを出す場面がある.シャヴァッスは撮影してきたフィルムを現像したあと食卓に向かい,クロワッサンをカフェ・オ・レに浸して食べ,手短に朝食を済ませる.シャヴァッスを演じたこの当時のM.シュヴァリエは七十歳に近く,オードリーは二十八.
 私が『昼下がりの情事』を観たのは中学生の時だった.私が担任の女先生に「いい映画はありませんか」と訊ねたら,ちょうど私の住む田舎の映画館でリバイバル上映されていた『昼下がりの情事』を激しく推奨したからであった.この先生は,今はもう忘れ去られた作品だが植民地戦争を描いた『ズール戦争』とか,人種差別を題材にした『わかれ道』の割引券を私にくれて,ぜひ観に行くようにと言った.この歳になっても覚えている先生の一人である.
 ところでその映画館に置いてあった『昼下がりの情事』のパンフレットには,クロワッサンに限らずパンなどをカフェ・オ・レに浸して食べるのは,あまり上品でない庶民のやり方であって,これが大富豪フランク・フラナガンとの対比になっている,とかなんとか書いてあった記憶がある.しかし昭和三十年代の終わりの頃の田舎のパン屋には食パンやコロッケパン,菓子パンなどしかなく,シャヴァッスの朝食がクロワッサンであることなど理解できるわけもなかった.なにしろドンクが東京青山に店を出して,世にフランスパンの存在を知らしめたのが1966年 (昭和四十一年) のことである.次いでポンパドウルの横浜元町店が評判となったのは1969年.そういう時代なのであった.
 ついでに書くと,大学に入学したばかりの1968年の五月,学校の前の小さな喫茶店に友人二人と入ったら,品書きに“カフェ・オ・レ”と書かれていた.私ともう一人はドイツ語のクラスであったが,もう一人がフランス語クラスで,彼が辞書を引いて「“レ”の綴りがわからない.普通のコーヒーじゃないみたいだね」と皆で首をひねったことを記憶している.あれから四十五年.なんでこんなことを覚えているんだ.

 昨日,クロワッサンをカフェ・オ・レに浸して食べる流儀は行儀が悪いかのどうか,かなり調べてみたのだが,「地球の歩き方」の掲示板に「上流階級はしない」との書き込みが一つあり,「私の夫はフランス人だが,そういう食べ方が嫌いだ」と書いているブログが二つ見つかったものの,あとはすべて「フランス人は皆そうして食べている」という (日本人の) 大合唱だった.だから『昼下がりの情事』のパンフレットに書いてあったことが,実際のところ本当かどうかわからない.

 乱暴なことをいえば,カフェ・オ・レにクロワッサンを浸して食べるのは味噌汁ぶっかけ飯みたいなものか.しかしそれが行儀よくても悪くても,年寄りに優しい朝食であることは確かだ.私も七十歳近くなったら,パンをカフェ・オ・レに浸して食べよう.ただしシュヴァリエのような老人になれていたらの話だが,それこそ自信がない.

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2013年11月15日 (金)

ハッピーな人魚姫 その二

 前の記事に《ディズニー映画『リトル・マーメイド』のストーリーを知って,腰を抜かした.だってね,『リトル・マーメイド』は人魚姫の話じゃないんすか.人魚姫は,恋に破れて水の泡になってしまうんではなかったですか? 悲しい恋の物語ではなかったですか.》と書いた.
 ところがこれは私が無知であったせいのようで,Wikipedia【美女と野獣】の項に次のように書かれている.

《本作の3年前に制作された『リトル・マーメイド』において、ディズニー社はヒロインの人魚姫アリエルに海の世界の友達や家族を捨てさせ、白人の王子の下に駆け落ちさせるラストを与え、多くの女性団体から抗議を受けている。
「ディズニーによる原作原典の改竄」の一環としての識者からの多くの批判と併せ、「ヒロインが最終的には男性の下で結婚し、幸せになる」というディズニー映画の普遍のパターンは、女性の生き様を狭く限定するものとして、絶えず受け続けている批判である。》

 ただし,Wikipedia【リトル・マーメイド】の項目には,上記『リトル・マーメイド』批判は全く書かれておらず,なぜか【美女と野獣】において記述されている.どうしてなのか理由不明.

 さて次に「ディズニーによる原作原典の改竄」で検索してみたら,まあ出てくるわ出てくるわ.
 その種のディズニー批判を読んで思うのだが,「改竄」と「改作あるいは脚色」との線引きはどうなっているのだろう.
《ヒロインが最終的には男性の下で結婚し、幸せになる》ことに対する批判は,性差別の話であって,原作の改竄とはまた別の問題である.なぜなら,そんな小説や映画は掃いて捨てるほどあるからだ.ディズニーだけの問題ではない.
 すると,ディズニーが原作を子供向きに改変したことがいけないのだろうか.そのように主張するなら,白雪姫の物語は実母 (原作者グリム兄弟によって実母から継母へと改変されたが,これは改竄ではないのか) のグロテスクな処刑までを描写しなければいけないことになるし,白雪姫を生きかえらせる王子様は死体性愛者の変態野郎であらねばならない.
 しかし私は,そんな白雪姫のお話は観たくない.ディズニー映画『白雪姫』は原作の改竄であるというなら,実写版でいいから原作通りのストーリーで製作して,これを子供のための映画として世に問えばいいではないか.どちらがファンタジーとして質が高いかを競えばよい.それをせずにディズニーを批判するだけなのはフェアでないと思う.批判の方法としては,私は『シュレック』のやり方のほうが洗練されていて好きだが.

 ま,ディズニー批判はさておくとしても,私は悲恋物語の人魚姫の方がずっといいと思う.子供でも,そのストーリーは受け入れてくれるだろう.

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2013年11月14日 (木)

秘めやかなエチケット

 Panasonic の製品でエチケットカッターというのがある.電動の鼻毛切りである.
 もう何年前に買ったものか忘れてしまうくらい長く愛用してきたのだが,先日いつものように筒型のカッター部分を鼻の穴に挿入したところ,鼻毛を思いっきり引っ張られて大変痛い思いをした.どうやら刃が切れなくなったようだ.

 私は家電運が悪く,色んなものが短寿命で終わったのであるが,このエチケットカッターは驚異的に長持ちした.まるで私の忠実な部下のように,長い間,鼻毛を切り続けてくれた.それで長年の働きに報いるため,鼻毛塚をこしらえて葬ることにした.うそ.

 Amazon で現在の価格を調べると,エチケットカッターはたったの 836円である.一回の鼻毛カットのコストは非常に安い.これまで 836回鼻毛を切ったとすれば,一回あたり,たったの一円である.そんなに切ってません.
 私の生活コストの中で一番低コストなのが鼻毛のお手入れかも知れないと思うと,少し情けないような気がしないでもないが.
 さてどういうわけか替え刃も 836円で,従って本体価格はタダということになるが,販売価格体系としてそれでいいのかと思う.これじゃ消費者は皆,替え刃を買わずに新品を新たに購入することになる.私もそうしたのだけれど,Amazon は少しエコに配慮したほうがいいんではないか.

 エチケットカッターは,生活家電としては最安価の部類であろう.こんなに安くてはテレビCMを打つこともかなわないだろうが,試しにやってみたらどうか.
 街頭に販促員がいて,そこに通勤途中の会社員が通りかかる.
「今朝,鼻毛をカットしてきましたか?」
「ええ」
「もう一度,これでカットしてみてください」
ぶーん.紙の上にトントン.
「ほーらこんなに」
「おおっ」
というようなCMである.
 エチケットカッターがやってることは電気カミソリ (古い言い方だなあ.シェーバーと言えばいいのか) と同じなのに,不遇である.それはなぜか.
 ヒゲを剃るという行為は,明るい.これに対して鼻毛カットは,暗い.なんだか秘めやかな気配がする.人に見せてはいけない行為のように思われる.例えば滝川クリステルさんが鼻毛を切っているところを君は見たいか.見たいです.こらこら.
 ということはつまり,仮にエチケットカッターが高額商品であったとしても,テレビCMにはなじまないかも知れない.残念である.なに言ってんだかわからないが,ともあれ我が国における鼻毛カット界を支えてきた Panasonic に心から感謝して,この稿を終えたい.

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2013年11月13日 (水)

通販サイトの書評

 吉永南央『萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ』(文春文庫) が割といいよという評判を聞いたので,買ってみた.
 注文する時に Amazon のレビューをざっと読んでみたら,《コージーミステリという「幸福の約束」》と題した長めの文章があった.その冒頭の一行に《大船観音に見下ろされる町の和風喫茶『小蔵屋』を営み、美味しい試供品の無料コーヒーも出してくれる、76歳の草おばあちゃん》とあるのだが,届いた本を読んでみたら,小説の舞台は北関東であった.
 どうやら主人公のおばあちゃんが住んでいるのは群馬県の高崎市をイメージした地方都市である.おばあちゃんの経営する喫茶店がある町の名は紅雲町といい,紅雲町はお隣の前橋市に実在する町名だ.オール讀物推理小説新人賞を受賞してミステリィ小説界に登場した作者は,埼玉県生まれで群馬県立女子大卒業というから,さもありなん.

 さて冒頭にあげた Amazon のレビュー筆者だが,作中に大きな観音様が出てくるにしても,それをどうして大船観音に決めつけたのかが不思議.高崎には小高い丘の上に立つ大きな観音様の立像があるのだ.それに大船観音は背が低いから「町を見下ろし」たりしていない (すぐ近くのJR大船駅は見下ろしているが) し,作中の地方都市の描写は大船観音界隈と全く異なるのに.
 この筆者は,『萩を揺らす雨』を読まずに,ネットに書かれた他の人の感想文を読んで内容を拝借したのだろうか.探すと他にも『萩を揺らす雨』の舞台を大船としているブログがみつかった.あるいは三上延の『ビブリア古書堂の事件手帳』との混同もあるかも.

 このレビュー筆者のような,本を読まずにレビューを書く人は何を考えているのだろう.
 実はこれ,書籍に限らない.Amazon とか楽天のレビューには,使ってもいない商品のレビューを書く人達が散見される.不思議な人達である.

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2013年11月12日 (火)

海自カレーが意気盛ん

 昨日の朝日新聞DIGITALの記事にあったのだが,海上自衛隊では艦船ごとにカレーのレシピが異なるのだそうだ.私は,横須賀,呉,佐世保など各地方隊ごとに違うんじゃないかと思っていたが,艦船ごとに異なるとは知らなかった.
 Wikipedia にはこうある.
《海上自衛隊で食されているものは「海上自衛隊カレー」とまとめて呼ばれる。現在は、各艦艇・部署ごとに独自の秘伝レシピが伝わるため、作られるカレーは艦艇・部署ごとに異なり、単一の味・レシピは存在しない。・・・・・・2008年1月1日より、海上自衛隊のHP「海上自衛隊レシピページ」上において、カレーライスなど海上自衛隊の自慢料理のレシピの公開が始まった。》

 へぇーなるほど.この項目では海自のカレーを海軍カレーの一つとしていて,ちょっと問題ではあるが,ま,とりあえずそれは横に置いて.
 それで,長崎県佐世保市の四つの商店街と海上自衛隊が,ともに設立六十周年を迎えたのを記念して,護衛艦で提供されているカレーの食べ比べを企画しているという.企画には海上自衛隊佐世保地方隊配備の十隻が参加するのだそうだ.

 これに負けじと横須賀では,「YOKOSUKA軍港めぐり」という観光クルーズをやっている会社が,海自三艦船のレシピによる缶詰カレーを発売した.これは横須賀地方隊配備艦船のカレーで,護衛艦「ひゅうが」のビーフカレー,同「きりしま」のポークカレー,砕氷艦「しらせ」のシーフードカレーの三種類.このクルーズの汐入ターミナルで,お土産用 230グラム入り550円が販売されている.今月からネット通販もするという情報が流れているが,「YOKOSUKA軍港めぐり」のサイトにはまだ載っていないみたい.災害時の食料にもなるだろうから,これはぜひ買ってみたい.

 Wikipedia には日本海軍伝統のカレーと海自のカレーについて書かれているが,航空自衛隊にもあるそうで,空自千歳基地のカレーは通販されている.他には新田原基地 (宮崎) のレシピによる「新田原基地カレー」も現地で販売されているという.陸自もがんばれ.陸自が売るわけじゃないけどね.

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2013年11月11日 (月)

ハッピーな人魚姫

 私が子供の頃,日本テレビで『ディズニーランド』という番組があった.
 と書いてから調べてみたら,1958年8月から1972年4月まで放送されていたので驚いた.子供の頃どころではない.大学を卒業した年までやっていたのだった.

 いや話は放送期間のことではなく,私がテレビの『ディズニーランド』を好きだったということである.それが祟って,齢六十三を数えても未だに夢と魔法の国TDRが好きだ.
 TDLならウエスタンランドが気に入っていて,あと数年後に仕事から完全リタイアしたら,浦安の近くにアパートを借りて毎日毎日TDLに通い,アメリカ河の畔のベンチに腰掛けて何も考えずに一日中ぼーっとしていたいくらいだ.あ,それはちょっと怪しいオーラが出ちゃうかも知れないので,ヘミングウェイの文庫本くらいは持って行く.
 でもTDSには二度しか行ったことがない.だからアトラクションの内容も通り一遍のことしか知らなかったのだが,昨日ひょんなことから,マーメイド・ラグーン・シアターで上演されているミュージカルの元のお話=ディズニー映画『リトル・マーメイド』のストーリーを知って,腰を抜かした.
 だってね,『リトル・マーメイド』は人魚姫の話じゃないんすか.人魚姫は,恋に破れて水の泡になってしまうんではなかったですか? 悲しい恋の物語ではなかったですか.

 とは言いつつも,初恋の成就というのはわるくない.アンデルセンがどう言おうと,それはディズニーファンタジーの王道だ.ましてや,結婚しちゃったのに,それでもなお幸せに暮らしましたとさ,というお話なら,奇跡の物語だ.まさに夢と魔法の国である.
 夢を見たいのは人の常.DVD『リトル・マーメイド』は期間限定特別価格版が Amazon で \2,175 なのだけれど,これはビミョーな価格だ.\1,175 なら買うのだが.あー,全然ビミョーじゃないですね.却下.はい.

(この続きはこちら)

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2013年11月10日 (日)

川上伝説 その二

 前の記事に書いたことが正確だったかどうか少し不安になったので,長年にわたり堀井憲一郎が週刊文春に連載していた『ホリイのずんずん調査』の選集である『ホリイのずんずん調査 かつて誰も調べなかった100の謎』を購入した.Amazon で古本が1500円だった.送料が250円で,つまり1750円で買ったことになる.新刊本体価格が1800円だから,50円も得した.
 古本といっても,2013年8月5日発行の第一刷である.つまり買ってすぐ売ったほぼ新古品.有隣堂書店のカバーがかかっているところをみると元の持ち主はたぶん神奈川在住の人だ.文春の連載をずっと読んでいた堀井憲一郎のファンならすぐには売らないだろうから,たまたま衝動的に買った人なのかなと思った.
 いやまあ,それはどうでもいいことだけれど,この古本を Amazon に注文したときは売り切れになっていて入荷予定もなく,入荷の目途 (つまり増刷) がわかったらメール連絡がくることになっていた.いったんはそれで注文したのだが,古本でいいやと考え直して,注文をキャンセルした.
 注文し直した1500円の古本はすぐ届いたのだが,その後増刷されることになったらしく,昨日また通常販売状態で1890円になっていた.
 ところが Amazon に出品している他の古書店の価格は,11月10日現在で一番安いのが1890円+送料250円.高いのは2333円+送料250円から3777円+送料250円まである.さらにはコレクター (個人) の出品で3999円+送料250円なんてのまである.Amazon の古書には時々こういうのがあるが,新品より高く値付けしてどうするのだろう.

 いやまあ,それもどうでもいいことで,話は川上伝説のことだ.
 前の記事では記憶で次のように書いた.
《堀井憲一郎が言うには,「球が止まったように見えた」と「球が止まって見えた」は全然違う.「河童のような人と一緒に呑んだ」と「河童と一緒に呑んだ」は違うという.》

 これを正確に引用すると
《「球が止まった」と「球が止まったように見えた」では、ずいぶんと話が違うぜ。「カッパと飲んだ」と「カッパ黄桜を飲んだ」ぐらい違う。じゃないや。「カッパと飲んだ」と「カッパみたいなやつと飲んだ」ぐらい違うのだ。》
であった.私の記憶からはカッパ黄桜が抜け落ちていたので補足修正する.でも堀井憲一郎がこれを書いたのは,つまり私がその連載記事を読んだのは2001年7月だから十二年前のこと.仕方ないよねと言い訳しておきたい.

 あとは訂正なし.いわゆる川上伝説は,川上哲治本人が創作流布したものである.ただし『ホリイのずんずん調査』によれば横からの応援団がいた.
 川上哲治が多くの著書に書いているのは「眼前で球が止まった.そこをすかさず叩いた」という趣旨であるが,スポーツライターの大和球士の著書『真説日本野球史』には《ボールが停止しているから、何もあわてて振ることはない。十二分に間をおいてスイングした》と書かれているそうだ.「すかさず叩く」と「十二分に間をおいてスイング」では,ずいぶんと話が違うぜ.(笑) 大和球士は話を盛りすぎであるね.以上を補足しておく.

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2013年11月 9日 (土)

笹団子食いたい

 私の父親は新潟の中越地方の出で,昭和の三十年代のこと,今では疎遠になってしまったそっちの親戚から,時折笹団子が段ボール箱一つにぎっしり詰められて送られてきた.
 母親も新潟出身ではあるのだが,母方の実家は佐渡島だったので,こちらから笹団子が到来することはなかった.佐渡には笹団子はなく,笹団子は中越から下越にかけての地方の餅菓子であるからだった.

 笹団子は,上新粉と餅粉を混ぜて水で捏ね,ヨモギを加えたのちに餡を包み込んでから笹の葉で包み,蒸し上げて作る.粽 (ちまき) の一種で,形は繭玉を思わせるような,胴の中ごろが少しくびれた俵型である.洗練されているとは言い難いが,うまい.ものの本によると,農家が自家消費用に拵えるときは,餡の代わりにきんぴらごぼうなどを入れたそうだが,我が家が親戚 (農家) から頂いたものは小豆餡だった.

 上新粉の餅だから,すぐに老化して硬くなるが,蒸すか電子レンジで加熱すれば元通りになる.それなのに,楽天に出店しているある業者の「笹団子」は次のような原材料を使用している.

商品名 手作り笹団子
原材料 餅粉,砂糖,餡,塩,蓮草,植物性蛋白,乳化蛋白,乳化剤,澱粉発酵糖,着色料 (青1,黄4),グリシン

 餅粉だけを使用して上新粉を使わず,さらに乳化剤を使っているのは,売れ残りの廃棄が怖くて硬くならないように工夫したのであろう.商品説明には図々しくも「新潟県村上市のおばあちゃんたちの手作り笹団子」とあるが,新潟のおばあちゃんたちはこんなものを笹団子と認めないだろうに.
 原材料表示に「蓮草」とあるのは法蓮草のことだろう.法蓮草は菠薐草 (ホウレンソウ) の当て字である.あるいは新潟県の方言でホウレンソウを蓮草と呼ぶのかも知れないが,表示に方言を書いてはいけない.
 で,ヨモギの代わりにホウレンソウと着色料を使用しているから,あのヨモギの香りは全くしない.商品説明に「新潟のお土産の定番商品【手作り笹団子】よもぎの香りとこしあんのやわらかい甘味が絶妙」(そのまま引用) と書いてあるが,ヨモギ不使用なのにヨモギの香りと書くのは大胆な不当表示だ.あるいは表示なしで香料を使用しているのか.
 それに,無意味にグリシンなんぞを入れることはないじゃないか,と思う.これは大量生産の草餅と同じようなレシピであり,はっきり言うと,まがい物である.たぶん味はわるいはず.グリシンが入っていてうまいわけがない.

 一方,同じ楽天の通販でも別の業者の笹団子は次のようである.

商品名 笹だんご(粒あん)
原材料 もち粉 (新潟産),しん粉 (新潟産),あんこ (粒あん),よもぎ (新潟産),水あめ

 これは良心的である.家庭での手作り笹団子と同じ.こうでなくちゃ.
 笹団子は上越線や上越新幹線の駅売店で土産用の商品が買えるが,その際には原材料を確かめて買わないと,まがい物を掴まされる可能性が高い.

 少し横に逸れて,私が小学校低学年の頃の思い出.
 毎年春も盛りになると,姉と一緒に利根川の河原にヨモギを摘みに行く.この頃の河原にはノビル (野蒜) もたくさん生えていて,草摘みには母親の買い物かごを持って行き,これを一杯にして引き上げてきたものだ.
 ヨモギの若い葉は,ざっと水洗いしてから硬いスジを取る.塩を一つまみ入れた湯で茹でて色を鮮やかにする.これを包丁で細かく刻み,さらに擂り鉢でよーく擂る.こうして下ごしらえしたヨモギを餅に練り込むのだが,私の覚えているやり方と全く同じ草餅の作り方がネットに掲載されているので参照して欲しい.このページの作者に感謝してリンクを張らせて頂く.

 クックパッドに載っているレシピは,ヨモギを茹でるのに重曹を使っている例が多いが,春摘みのヨモギはアクがないから重曹の必要はない.重曹を使うとヨモギの香りが台無し.ヨモギの季節を過ぎて,そこら辺でやたら大きく育ったヨモギには重曹が必要だろうが,そもそも季節外れのことはせぬほうがよろしい.草餅は春の食い物だから.
 ただし街中の和菓子屋の草餅は昔から,私の知る限り昭和三十年代から,ヨモギでなくホウレンソウを通年使用していた.上に挙げた似非笹団子は,その嫡流であるわけだ.
 元に戻ると,つまり本来の笹団子は季節物 (今はヨモギの保存ができる) なのであって,しかるにこれを安価に一年中製造販売しようとするから,ヨモギ抜きのまがい物が作られてしまうのである.

 さて親戚の農家からの到来物の笹団子は,一年に何度も拵えるわけではないから,今の工場製品とは異なって大きさに多少の不揃いがあり,いかにも手作りの感があったものだ.懐かしい思い出である.

  恋しらぬ女の粽 不形なり
         上島鬼貫

関連記事 「笹団子食いたい その二

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2013年11月 8日 (金)

やさしいライオンの魂

 少し前に注文していた絵本『やさしいライオン』が届いた.
 早速ページをめくったが,半分読んだところで,もう目頭が熱くなってしまった.

 犬でも猫でも,飼うならば自分の家族のように愛したい,長生きして欲しいと願う.それが普通の人間の感情のように私には思われるが,しかし現実にはそうでない人達があまりにも多いので,驚くほどの数の犬猫達が毎日殺処分されている日本の現状があるわけだ.

 前の記事で,私は絵本『ずーっと ずっと だいすきだよ』について「お金をドブに捨てた」と書いた.主人公の少年とその家族が飼い犬の健康に無頓着だったのは,結局のところその犬を愛していなかった,長生きして欲しいと思っていなかったのだと思うからだ.口で飼い犬に「好きだよ」と言うだけなら簡単だ.ところが少年は,無責任に「好きだ好きだ」と犬に言い続けたことで免罪符を得て,その犬が死んでも涙を流すことなく,また他の何かを飼おうと思うに至った.この少年とその家族は,生き物に対する優しい気持ちと遠いところにいる.
『ずーっと ずっと だいすきだよ』の原作者はドイツ人であり,ドイツは動物愛護にかけては日本より先進的だと聞いているが,この絵本をドイツ人が買って読んだらどう思うだろう.やはり金をドブに捨ててしまったようなものだと怒るのではなかろうか.

 やなせたかし画伯逝去の報に,あの口の悪い西原理恵子さんがしみじみと追悼のコメントを寄せていた.『毎日かあさん』にもそれを描いていた.やなせたかしという人は,よほど優しい人柄であったのだろう.
 やさしいライオンが,育ての母である犬と共に理不尽で悲しい死を迎えるかと思われた寸前,作者が物語の結末に描いた二枚の絵によって,その理不尽は優しく昇華された.
『ごん狐』では理不尽が理不尽のまま終わるが,『やさしいライオン』には作者の人柄が反映されているように思う.

 幼い子にこの絵本を読み聞かせるお母さんは,「どうしてやさしいライオンの足跡は途中で消えていたんだと思う?」と子に問いかけて欲しい.絵本でありながら,この足跡のことはまるで小説のようなエンディングであり,大人にも難しい質問だから子供には答えられないだろうけれど,答えられなくてもその子を抱きしめてあげて欲しいと思う.作者は,お母さんに『やさしいライオン』を読みきかせてもらった子が,いつかまた大人になってから読み直して「ああ,そういうことだったのか」と理解してくれるよう望んでいたのだろう.

 こうして『やさしいライオン』は私の涙腺決壊コレクション入りした.

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2013年11月 7日 (木)

秋葉原昼飯事情

 少し前の PRESIDENT Online (10月22日配信) に,デジタルハリウッド大学客員准教授という肩書の梅本克氏という人が,今の神田界隈のそこかしこにあるカレー店について「秋葉原はなぜカレーの街になったか」という一文を寄せていた.
 それによると,神保町でカレーを出す店は82店舗あり,秋葉原では110店舗あるという.ただしこの数は,喫茶店の軽食メニューなども含んでいて,インド料理店やカレー専門店の数はぐんと減るが,それにしてもカレー密度はかなり高いようだ.

 梅本氏は,秋葉原にカレー専門店や,カレーがメニューにある店の多いことについて,
(1) 秋葉原には若い男達が多い.若い男が大勢いる地域には,安い・早い・大盛りの食べ物を提供する外食産業が発展しやすい,
(2) カレーはその昔に軍隊食として採用されていたため,日清日露の戦争から戻った兵士達が地元に戻り,懐かしのカレーを広めた.カレーは元来が男の料理だった,
(3) 神保町も秋葉原も趣味人の街だから,通りいっぺんのカレーではないカレー専門店が多い,
としている.

 アスキー総合研究所の遠藤諭氏が,コンピュータ・プログラマーはカレーが好きだと,昔のアスキー誌に書いていた記憶がある.よく知られているように,コンピュータの世界ではインド人が多く,その影響ではないかという話だったと思う.
 しかし秋葉を徘徊する人々 (一部に老人 σ(^^;) も含む) がインド人の影響下にあるとも思えず,まぁ梅本氏の意見が妥当なところかと思う.

 昔私が若い頃,電気街改札口を出て秋葉原デパート(今はもうない)の向こう側のパーツ屋街とか,中央通りの信号を渡った先にある東京ラジオデパートにラジオやアンプの部品を買い出しに行ったものだが,当時はほんとに飲食店が少なくて,昼飯時に空いている店を探すに苦労したものだ.

 時が経って,秋葉原にPC部品店が林立した頃には,中央通りに面して「小諸そば」ができて,秋葉原徘徊の際にはもっぱら同店の「ざるうどん鶏唐揚げ丼セット」を食うのが私の定番昼飯となり,それでなければ「松楽」のワンタンメンを食っていた.
(私と同類の諸兄は「じゃんがら」のラーメンに長い列を作っていたが,私は列が嫌いなので一度もじゃんがらに入ったことがない)

 それが今はどうだろう.秋葉原マップを見ると,秋葉はまるで飲食店街のようである.カレーの店は16店舗もある.
 そう言われてみると,最近は「じゃんがら」に列ができていないこともあるし,昔懐かしの「松楽」なんかはガラガラだ.

 秋葉原に新興飲食店がどんどん増えて,例えばUDX内のレストラン街もなかなか充実しており,身なりが秋葉ファッションではないカップルなんかもいて賑わっている.隔世の感ありとはこのことである.
 そこで最近,秋葉原UDXレストラン街の三店で食事してみた.三回とも昼飯ではなく友人との飲み会だったが,味は・・・どれも,何度もいくほどの店ではなかった.

 今度の休みには久しぶりに秋葉を徘徊してみようかと思うが,やはり昼飯は小諸そばで食べることにしよう.あ,キッチンジローという手もあるか.おおそうだ,ルノアールのピザトーストで軽く済ませてもいいなあ.軽食なら昔は古炉奈といういい店があったのだが,仕方ない.これも昭和は遠くなりにけり,ということで.

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2013年11月 6日 (水)

果物の理想型

 ブドウは食べるのがめんどくさい.そう長年にわたって思い続けて敬遠してきたが,間違いだった.
 先日,スーパーで皮ごと食べられるブドウというものを買ってきた (品種名を失念したので以下に「皮ごとぱりぱりブドウ」と記す).ざっと水洗いして一粒口に放り込んでみたら,これが甘い.渋くない.おまけに種がない.目から鱗とはこのことだと思った.

 ブドウの品種といえば昔からあるデラウェア,おいしいけれど皮をむかなければならない巨峰,気軽には買えない岡山のマスカット(オブ・アレクサンドリア)くらいしか思い浮かばない私は,ここに掲載されているものだけでも「へーっ,色々あるのね」と思った.その中には皮ごと食べられる品種がいくつも載っていて,これまで漫然とブドウ界の外にいたことを後悔している.岡山のマスカットはこれまで通り遠くから拝むだけにするが,今後は皮ごとぱりぱりブドウを親の敵のように食ってやろう.

 私は果物が好きであるが,しかし果物(バナナを除く)はめんどくせー食い物だと思ってきた.その責任の一部は果物側にある.
 例えばスイカを見よ.内側の赤くて甘いところに,嫌がらせのように種が密集している.いったいどういうつもりなのか,小一時間ほど膝詰めで了見をスイカに問いただしたい.
 例えばリンゴ.小さい頃からライオン歯磨に「リンゴをかじると歯茎から血がでませんか?」と言われ続けた私は,歯周病の宣告が怖くてリンゴの皮をむかずにパキッとかじることができない.
 さらに例えばパイナップル.最近の品種は優秀で,昔のものと異なって舌がしびれないが,それでも繊維が歯間に挟まる不愉快な性質は残っている.ニラなんぞと同じクレームを年寄りにつけられて悔しくはないのか,パイナップルの釈明を聞きたいと思う人は多かろう.多くないですか.そうですね.

 というわけで全国の果樹園芸研究者に申し上げたい.イチゴのように外側に種のあるスイカを品種改良で作って頂きたい.それがだめなら,種がおいしいスイカを希望する.
 あるいは皮なしリンゴは作れないものか.ウインナソーセージごときにできることを,リンゴができないのはなぜだ.皮ごとぱりぱりブドウを食いながら,そう思う.

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2013年11月 5日 (火)

一緒に行こう

 読書は,手当たり次第に読むこともあるが,一冊の本から関連する本を芋づる式に辿って読むことがある.
 最近の私の例では,かなり前に読んだ森絵都さんの『君と一緒に生きよう』と同じ流れの作品である『おいで、一緒に行こう』を先々月読んだ.この二冊に登場する田辺アンニイさんという人の書いた『それでも人を愛する犬』を先月読んだ.森絵都さんが「熱い女」と評する田辺アンニイさんの著書を読んでみたくなり,ネット古書店で手に入れたのである.
 もちろん田辺アンニイさんは職業作家ではないから,文章の巧拙はどうでもいいことである.ではあるけれどむしろ逆に,これはよく書けていると感心した.まず文章が素直である.そして子供でも理解できる平易な文章でありながら,「熱い女」の心意気が読者に伝わってくる.

『おいで、一緒に行こう』には報道写真家太田康介さんの写真集のことが出てくる.それでその写真集『のこされた動物たち 福島第一原発20キロ圏内の記録』と『待ちつづける動物たち 福島第一原発20キロ圏内のそれから』を先日購入した.そしてこの二冊は文句なく私の涙腺決壊コレクション入りしたのであった.

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2013年11月 4日 (月)

権力を握ることの恐ろしさ

 今日の報道によれば,消費者庁が料理のメニューにアレルギー表示を義務づける指導を行っているようである.これは,成立したばかりの食品表示法だけでなく,食品表示法の実施に関する消費者庁自身の次長通知にも反する暴挙である.詳細未だ詳らかでないので,このブログでの解説は先に送るが,権力のお先棒を担ぐのはマスコミの常として,法学分野の識者や弁護士等法曹関係者は何をしているのか.取り急ぎ一筆を記す.

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直訴

 先に行われた秋の園遊会で,天皇陛下に直接手紙を渡した山本太郎参議院議員の行動について,与野党,マスコミが大騒ぎである.

 その騒動のどさくさに紛れて,戦後暫くの間生きていて,しかし今はもう死に絶えたと思われていた「世が世なら不敬罪だ」という言葉が,亡霊のように蘇ってしまった.与野党議員がこの言葉を使っていることを批判したのは,私の知る限り毎日新聞のコラム『余録』だけである.山本議員は,その意図に反してであっても,「世が世なら不敬罪だ」を生き返らせた責任はとらねばならない.

 もう一つ.山本議員は,記者団の取材に対して「原発作業員の現状を伝えたかった」と語ったと報道されている.この発言は,天皇が原発作業員の現状を知らないとの前提に立っている.どこからそのような前提が出てくるのか,山本議員は明らかにしなければならない.

 自らの行動の意図を語らぬ,あるいは自由に語ることを制限された天皇に代わって,皇后はかつて皇室存在の意義は「祈り」であると表現した.
 私は昭和天皇の戦後の生き方に不快な思いを持っている国民の一人であるが,しかし現天皇と皇后には敬愛の念を持っている.戦後一貫して,「祈り」の必要とされる時と所で「祈り」続けてこられたと思っている.それは,最近のことを例にあげれば,東北へ水俣へと訪問の旅を続け,現地で被災者や水俣病患者の人々と会話を交わすご夫妻の姿をテレビの画面でみるだけで私達に伝わる.
 繰り返す.「天皇に原発作業員の現状を伝えたかった」すなわち「天皇は原発作業員の現状を知らない,知ることを怠っている」と山本議員が考えるならば,なぜそのように考えるに至ったかを明らかにせねばならない.山本議員の行動は天皇の人間性に対する批判であり,批判するならその根拠を示すのが最低限の礼儀だからである.

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2013年11月 3日 (日)

雑多感想 11/3

(一)
 私はもう社会人になっていたから,テレビアニメ『みつばちマーヤの冒険』は一度もみたことがないのだけれど,その主題歌『みつばちマーヤの冒険』と『おやすみマーヤ』が伊勢正三の作詞・作曲だということを昨日知った.Wikipedia には,エンディングテーマ『おやすみマーヤ』の作曲は伊勢正三でなく小山恭弘となっているが,これは間違い.
 それでネットで二つの曲を聴いてみたのだが,これはきっと四十歳以上の人達には思い出の曲になっているのだろうと思った.
 アニメの主題歌で,歌っているのは水前寺清子だから,当然ながら伊勢正三のアルバムには収録されていない.水前寺清子のCDには『みつばちマーヤの冒険』はあるが『おやすみマーヤ』は入っていない.シングルでリリースすればいいのに.

(二)
 前の記事で,JR秋葉原駅西側のガード下にあった「山菊ポータブル」が閉店したと書いた.それに続いて今度は,ラジオストアーから九店が撤退し,ラジオストアーとしては11月末で閉館するという.隣接するラジオセンターと秋葉原電波会館はまだ営業を続けるようだが,こうして少しずつ秋葉原から昭和が消えていく.

(三)
 読売新聞によると,全国の豆腐業者は2012年度は9059軒となり,2003年度より4957軒減ったという.(厚生労働省の集計による)
 政府がユネスコ無形文化遺産に登録申請して喧伝する「和食」がハレの食事であるとするなら,豆腐はケの食品だ.日常食の中で最も大切な食品の一つだ.それが,価格があまりにも安いために採算がとれなくなり,豆腐業者がどんどん減っている.豆腐の採算がとれなくなってしまった原因の一つが,大規模小売店の存在である.彼らは「消費者の利益」を錦の御旗としているからして,中小零細業者の死活は関心の外にある.赤字に苦しむ業者からの値上げ要請を拒否したためにその業者が倒産しても,別の業者と取引すればよいだけである.彼らはおそらく日本の食文化についても無関心であろう.
 業者の規模からして,将来も納豆は持ちこたえるだろうが,豆腐は危ない.こうして昭和の食卓が少しずつ消えていく.

(四)
 なんでもかんでも言葉に「活」をつける風潮がいやだ.就職活動を略して就活はまだいいが,美活,婚活,妊活と,どんどんグロテスクになっていく.

(五)
 映画のハリー・ポッターのシリーズは第一作だけ観て,『指輪物語』に比べて,世界観がファンタジーとしては地味な印象だったので,そのまま放ったらかしにしていた.
 『死の秘宝』をテレビでやっていたのでちょっと観てみたところ,なんかこう最後に盛り上がりを見せそうなので,全作セットのBDを注文した.これだけ長く引っ張ったシリーズなので,鑑賞時間を捻出するのが大変.

(六)
 あとひと月もすれば忘年会シーズンである.そしてすぐ年末になる.皆様もよいお年を.違います.

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2013年11月 2日 (土)

猿の人生 その二

 書き忘れていたことがある.高崎山のベンツのことだ.
 前の記事の後日談だけれども,群れを出て姿を消していたベンツが保護され,高崎山に戻されたあと暫くエサ場に現れず心配されていたが,10月18日,ボスに復帰したことが確認された.

 放浪していたベンツが保護されたあと,群れがベンツを受け入れない可能性があるため,もしだめなら群れから隔離して保護しようかという話があったようだが,杞憂に終わった.
 これはすなわち,ベンツの会社では次期社長をつとめるべきナンバーツーが育っていなかったということである.
 いったんは会長に退いたが,また社長に復帰したというのは,よくある話である.さて島耕作はどうする.ベンツはいいとして,島はいい加減に早く引退して欲しいものだ.

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『鳥』の裏側で

 週刊文春 (11月7日号) の連載『本音を申せば』で小林信彦氏が,女優ティッピ・ヘドレンについて書いている.

 ティッピ・ヘドレンはヒッチコックの『鳥』で映画デビューした.私は『鳥』を中学二年生の時に観て,洋画を見始めたばかりだったせいもあり,なんてきれいな人なんだろうと思った.彼女がサウスポーであるところも,なんだかわからないが魅力的だった.

 さて小林信彦氏が書いているのは,モデルだったティッピ・ヘドレンに一目惚れして映画にデビューさせたヒッチコックが,彼女に執着してまとわりついたことについてである.
 そこら辺のところを,Wikipedia は,かなりあっさりと書いている.

《1950年代から60年代にかけてモデルとして活躍。テレビコマーシャルに出演していたところをアルフレッド・ヒッチコック監督に見出されて『鳥』に出演。ゴールデングローブ賞有望若手女優賞を受賞し一躍スターとなる。翌年もヒッチコックの『マーニー』に出演。ヒッチコックは更に彼女主演の映画製作を望んでいたが、彼女のキャリアをコントロールしようとするヒッチコックとティッピは相容れず、1967年に女優業を一時中断。その後は動物のための施設を運営しながら、テレビ中心に活躍した。》

ヒッチコック監督によるヘドレンへのセクハラを描いたドナルド・スポト(英語版)の書籍『Spellbound by Beauty: Alfred Hitchcock and His Leading Ladies』が、2012年にアメリカ・イギリス・南アフリカ合作のテレビ映画『ザ・ガール ヒッチコックに囚われた女』として映像化されている。ヘドレンを演じたのはシエナ・ミラー。》

 奥歯に物の挟まったような「彼女のキャリアをコントロールしようとするヒッチコック」「ヒッチコック監督によるヘドレンへのセクハラ」を,映画『ザ・ガール ヒッチコックに囚われた女』を題材にして,小林信彦氏はもう少し詳しく書いているわけだ.

 実際にヒッチコックに会ったこともある小林氏は,『鳥』の当時からヒッチコックの人間性については承知していたようだが,私はこの歳になるまで,全く知らなかった.うーむ,ヒッチコックって,そんなふざけた野郎だったのか.
 私が中学生の頃に,日本テレビで『ヒッチコック劇場』という人気ミステリー番組があり,毎週欠かさず観ていた思い出がある.それで,『ヒッチコック劇場』の選集を含むヒッチコック作品のDVDを少し買い集めようかな,と思っていたところだったのだが,すーっとその気が失せた.

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2013年11月 1日 (金)

へこたれないパワーヘルス

 昨日の夜,通勤最寄り駅を降りてから我が家まで歩いて帰る途中にある,パワーヘルスの無料体験会場は盛況であった.前に書いたように,お客さんの多くはサクラであるが.
 会場は歩道に面してガラス張りになっているのだが,そのガラス窓のどこにも景品表示法に基づく措置命令を受けたことに関する張り紙はされていなかった.会場の中をチラと覗くと,例の怪しげな金ぴかマシンがデーンと鎮座していた.

 新聞報道によれば,(株)ヘルス(東京都)は10月17日,無料体験会場で来場者に対し,景表法に違反する行為を行なっていたことを同社のウェブサイトで公表した.
 その同社サイトを見てみると,「不当景品類及び不当表示防止法第6条の規定に基づく措置命令について」「コンプライアンス宣言」「株式会社ヘルスのコンプライアンスへの取り組みについて」と題したものが並んでおり,それぞれをクリックすると中身が閲覧できる体裁になっている.

「不当景品類及び不当表示防止法第6条の規定に基づく措置命令について」の中身は「お客様ならびにお取引先各位 お詫びとお知らせ」である.これの日付が10月17日で,措置命令の内容が書かれている.
 一方「コンプライアンス宣言」と「株式会社ヘルスのコンプライアンスへの取り組みについて」は,その三ヶ月前の7月16日である.

 ヘルス社の「コンプライアンス宣言」には,

《コンプライアンス基本方針・行動規範1.信頼の確保
お客様・地域の皆様をはじめとする社会の信頼にお応えするため、コンプライアンスをすべての行動の原則とし、法令および社会規範ならびに 定款および社内規定等を厳正に遵守します。
2.誠実で公明正大な企業活動
弊社は、商品に関係する諸法令やルールを厳格に遵守するとともに、公正・透明かつ自由な競争を行ない、適法な販売活動を行います。 社会規範に従い、お客様の立場に立った誠実かつ公正な企業活動を遂行します。 (以下省略)》

と書かれている.
《商品に関係する諸法令やルールを厳格に遵守する》という宣言と,「お客様ならびにお取引先各位 お詫びとお知らせ」に記載されている措置命令の内容との,あまりの落差に思わず笑ってしまう.この二つを並べて記載するのはかなり度胸がいるのではないか.

 また「株式会社ヘルスのコンプライアンスへの取り組みについて」には,

《弊社は、コンプライアンス体制を推進する為、社長直轄の組織としてコンプライアンス委員会を設置致しました。 委員会の構成は、委員会の公平性・客観性を確保するために、社外の有識者及び弁護士に委員として参加頂き、オブザーバー(社外アドバイザーおよび、弊社役員初め各部門の責任者が参加)が加わる組織体制で、定期的にコンプライアンス委員会を開催していきます。 》

とある.
 そのコンプライアンス委員会に委員として参加していた社外の有識者と弁護士が誰なのかネット上を探してみたのだが,情報はなく,調べがつかなかった.
 調べて公表する週刊誌とか,ネットにたれ込みしてくれる元従業員はいないものか.ヘルス社の「コンプライアンス委員会」が本当に存在していたものか否か,その欺瞞を暴くことは,騙される被害者を減らすことにつながるのであるが.

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