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2013年10月 1日 (火)

消えた「消えた年金問題」

 JR北海道もそうだけれど,日本年金機構の劣化ぶりは目を覆わしめるものがある.以下に最近の報道を挙げる.
 

4/16 年金受給権の時効を撤廃し、過去の記録ミスによる支給漏れ分を支払う「時効特例給付」が行われず,約1300件,計約10億円の未払いが発覚した.年金機構は職員からの内部告発があったにもかかわらず約1年放置していた.週刊朝日2013年4月26日号のスクープによれば,年金機構と厚労省は,この不祥事の隠蔽工作に努めたらしい.

8/10 日本年金機構兵庫事務センターで,遺族年金の関係書類の紛失や放置などの事務処理違反が2010年1月から2012年8月の間に250件あったことが発覚した.これによる未払い年金額は約4400万円だという。

9/26 日本年金機構は,函館など計40箇所の年金事務所や事務センターで,同上の事務処理違反が1151件あったと発表した.年金の支給漏れや過払いは約2700万円.最も古い事務処理違反は2006年のものだった.

 この9/26の件について水島藤一郎理事長は,厚生労働省の年金記録問題特別委員会で「深くおわびする.書類を処理しない文化を根絶しないといけない」と述べたと伝えられる.年金機構理事長の頭の中では,怠惰は文化であるらしいが,普通の日本語では,それを文化ではなく風土と呼ぶ.もっと簡明には体質といえばよいのだが,文化などと一体何のつもりで奇をてらっているのか.

 4月の件については,検索すれば週刊朝日の記事が今でもニュースサイトで閲覧できるのであるが,安倍政権というのは,よくよく「消えた年金」に縁があるとみえる.
 前回の安倍内閣のときに首相は「最後の一人に至るまでチェックし,年金はすべてお支払いすると約束する」と言明したが,現政権では,田村憲久厚労相が就任直後に,今も未解明のままの年金記録2222万件について「費用対効果は頭に入れなければいけない部分もある」と全容解明に否定的な発言をした.時期的に,このとき厚労相は既に10億円未払いの件を承知していたのではないだろうか.しかし野党の弱体化で自信を深めていた首相は,4月の年金不祥事は我関せずでやり過ごした.続く8月と9月の件も同じ.
 日々刻々,年金受給者は増え続けている.つまり「消えた年金」も毎日増えているのだが,野党にこれを追及する気配はない.

 それに関連したことを一つ.
 ある年金受給者が住所を変更した場合,そのことを年金機構に通知する方法が複数ある.年金機構のコンピュータシステムは,複数ルートで上がってきた新住所が一字一句一致していない場合,例えば「○番地△号」と「○番△号」だった場合,これを保留にしてしまい,その後また次の住所に移って新々住所を届け出ても,全く受付けず,以後住所不明となるという.
 私はこれを市役所の年金担当者から聞いた.
「年金機構はああいうところですから,気をつけてください」
と担当者は言った.
「年金機構を信用しちゃいかんということですね」
「私の立場ではそうは言えないのですが」
 この会話は今年の二月のことである.私が慌てて自分の住所を確認に年金事務所に出かけたことは言うまでもない.

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