« 葬式で嘔吐する女 | トップページ | 無題 »

2013年8月25日 (日)

ルーとは何か

 岩石落とし.それはルー・テーズ.

 ルールールルルー.それは夜明けのスキャット.

 トゥギャザーしようぜ.それはルー大柴.

 広辞苑第六版の【ルー】の説明は
“小麦粉をバターで炒めたもの。ソースにとろみをつけるのに用いる。炒める度合によって、白色・淡黄色・茶色の3種類に分かれる。”
である.

 平凡社世界大百科事典では【ソース】の項目に
“ソースに濃度をつける〈つなぎ liaison〉には,ソースの土台になる〈ルー〉と,ソースの仕上げに加えるものとがある。ルーはバターで小麦粉をいためて作り,〈白いルー roux blanc〉およびさらにいためた〈ブロンド色のルー roux blond〉〈茶色のルー roux brun〉がある。”
とある.

 Wikipedia では【ルー(食品)】に更に詳しく
“小麦粉と油、また調味料(カレー粉、スパイス、食塩など)、スープなどを調理して水分を飛ばし固めた、カレー用の製品が市販されており、これも「カレールー」や「ルー」と呼ばれることがある。”
と書かれている.
 (筆者註;そもそもは昭和の中頃に「インスタントカレールー」という名称で発売されたものが,今では短く「カレールー」や「ルー」と呼ばれるようになってしまったのである)

 で,また『発言小町』から.
(30代後半の専業主婦 2013年3月20日投稿)
>夫は夕食時ほぼいないので、私と息子だと一度作るとしばらく食べられる、と計算しているのですが、気がつくと鍋一杯に作ったはずのルーが翌朝には半分になっていたりします。
>あー、夫が帰って来てから食べたんだなぁと思うのですが、それにしてもルーの減りが早いんです。
>食べ物の事でとやかく言うのはイヤだと思って黙っていたのですが、先ほども帰ってきた夫が私の目の前でどんぶりにルーを入れて「カレーは飲み物だから♪」と嬉しそうに飲み干していました。

 鍋一杯にルーを作ってどうする.(笑)
 この主婦の頭のなかでは「カレー」も「カレールー」も「ルー」も一緒くたなのであるが,料理好きでない人達のあいだではこの誤用は割と一般的である.例えば上記のトピ文についた,類は友を呼ぶと言うべきレスをいくつか抜粋する.

>食事の心配もなく不在が多いご主人、ルーなんかでうれしそうにしてくれるご主人、手がかからなくて羨ましいと思いますけどね。

>ルーだけ食べるのっておいしいですよね。

>どんぶりでルー、別にいいと思うよ?

 これまでこんなトピをみても「『発言小町』だから仕方ないよね」と笑って済ませていたが,そうも言っておられなくなった.
 昨日(8/24)の毎日新聞の朝刊コラム『余録』が織田作之助を取り上げて

>出世作「夫婦善哉(めおとぜんざい)」には化粧品問屋の若だんな・柳吉(りゅうきち)と売れっ子芸者・蝶子(ちょうこ)が駆け落ちし、流転の人生を歩むさまが描かれる。最初からごはんとルーを混ぜたカレー、関東煮(かんとだき=おでん)など、大阪のB級グルメが続々と出てくる。

と書いていたからである.『余録』子よお前もか,だ.
 コラム筆者の言いたいことは「最初からごはんとカレー(あるいはカレーソース)を混ぜたカレーライス」だろうから,「最初から混ぜ合わせてあるカレー」とすればいいのに何故ここに「ルー」と書くか.
 ここで,『夫婦善哉』に登場する自由軒ではカレーを「ルー」と呼んでいるのかも知れないと不安になって,自由軒のサイトを見てみた.
 しかし,自由軒は『名物カレー』の説明でカレーをちゃんとカレーと書いていて,「ルー」のルの字もない.これはもう自由軒は食い物のプロだから当然だよねと安心した.
 もちろん織田作之助も『夫婦善哉』中でカレーのことを「ルー」なんぞと書いてはいない.

 プロは大丈夫のようなので安心して,一般はどうなのかウェブを検索してみた.
 するとカレー(カレーソース)と「ルー」の混同が嫌になるくらい出てきた.もうすっかり「ルー」の誤用は定着しているみたいである.
 しかし定着しているからといっても,新聞コラムは言葉の誤用の先頭に立って欲しくないと思う.

|

« 葬式で嘔吐する女 | トップページ | 無題 »

新・雑事雑感」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ルーとは何か:

« 葬式で嘔吐する女 | トップページ | 無題 »