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2013年8月31日 (土)

小言幸兵衛

 週刊文春の8月29日号から.
 同号巻末のグラビア料理ページ『瀬尾幸子の台所の仕事』に葱入り卵焼きの作り方が載っている.瀬尾幸子氏は料理研究家で著書多数.東京都出身.

 その葱入り卵焼きだが,【材料】として「卵3個・葱(みじん切り)20cm分・塩小さじ1/4・サラダ油小さじ2・大根適量」とある.調理手順写真を見ると,葱は刻んだ葉葱を炒め,これを溶いた卵に入れてから焼いている.

 さて私のような関東生まれ育ちの人間にとっては,単に葱といえば根深葱のことだ.葉葱を使うときは,葉葱,万能葱,小葱,ワケネギなどとして,単に葱とはいわない.これは,東海から西の地方で単に葱といえば葉葱を指すのと同じである.

 この「葱といえば根深葱」地帯と「葱といえば葉葱」地帯の境界がどこかは,日経の野瀬氏が『食べ物新日本奇行』シリーズのサイトに調査結果を掲載していたが,このシリーズはあまりにも長期連載のため,どこに葱のことが書かれていたか残念ながら思い出せない.(調べるのが億劫;汗)

 で,葉葱ではなく単に葱と【材料】に書いてあるから,著者は西日本の人かと思ったら東京出身だという.
 つまり想像するに瀬尾さんという「料理研究家」は,食材に関心がないか,いささか性格が大雑把な人なんではないか.葱は全部ひっくるめて葱の一言ですませてしまう,みたいな.著書を買って読んだことはないが,調味料を「味噌」とか「醤油」とか大雑把に書いて済ませていなければよいのだが.

 また【作り方】に「フッ素加工のフライパンを温め、サラダ油をひく。」と書いているが,「油をひく」ということの意味を知らないんだろうと思う.フッ素加工のフライパンは油をはじくから「ひく」ことができないのだ.

 それから,そのフッ素加工のフライパンを強火で熱するのが卵焼きのコツだと書いているが,フッ素加工のフライパンを強火にかけてはいけないことは常識.だからしてフッ素加工のフライパンを使う場合に,中火で卵をうまく焼くにはどうしたらいいかを読者に伝授するのが「研究家」の役目だと思うのだが.ま,その程度のことは卵焼きを作れる人なら教えてもらうまでもないことだけれど.

 書店に行くと著書がたくさん並んでいるが,週刊文春はうんちくオヤジの雑誌なのだから,私みたいな小うるさい爺に文句をいわれない連載記事が書けるよう,もう少し精進してね.

【補遺】
 瀬尾氏は文春の記事の中で葱入り卵焼きについて「そこで私なりに試作、改良を重ね、行き着いたのがこの一品です」と書いている.しかし大雑把に書かれたレシピのどこが「試作、改良を重ね」た結果なのか皆目わからない.昔から家庭で作られてきた葱入り卵焼きそのまんまではないか.
 しかも,ウェブ上に著書に書かれたレシピをコピペしたサイトがあったので読んでみたら,著書にも葱入り卵焼きのレシピが載っており(ということは文春の記事は同じネタの使い回しだ),【材料】の葱と油が「長葱」と「ごま油」になっている.「ごま油」と「サラダ油」では食味が大いに異なる.「試作、改良を重ね」た結果はどっちなんだ.性格が大雑把というより,仕事に対する姿勢がいい加減なのではないか.

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