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2013年8月24日 (土)

葬式で嘔吐する女

「言葉は生き物だから時代と共に意味が変わるのは当然だ」と主張するのは,大抵の場合,本を読まない頭の悪い人間であるといわれている.
 誰が言っているかというと私だ.

 そういう人間は耳から入ってきた言葉を誤解して,本を読まないものだから誤解を訂正する機会がなく,おまけに周囲には似たような(頭の)者が集まっているから,誤用を始め,広まっていくのである.
 昔はそのように局地的に発生した言葉の誤用が広まるには長い時間が必要であったが,現代日本ではネット掲示板が言葉の誤用の加速機となっているので,全国的な拡大がアッという間である.
 ネット掲示板のおかげで今まさに誤用が支配的になってしまった例の代表が「号泣」だ.
 文化庁の平成22年度『国語に関する世論調査』では,号泣の本来の意味である「大声をあげて泣く」で使う人が34.1パーセントであるのに対して,誤用「激しく泣く」で使う人が48.3パーセントという結果が出ている.

 読売新聞社のサイトにある女性向け掲示板『発言小町』はその誤用加速エンジンの最たるものである.
 普通のネット掲示板であれば「それは意味が違う」と指摘するレスがつく,いわば自浄作用みたいなものがあるのだが,『発言小町』には編集者がいて,誤用を指摘するレスは横レスであるとして排除されてしまう.(私は偏屈者であるので,誤用を見つけるとただちに「それは意味が違う」とのレスを投稿するのだが,今まで一度もトピに反映されたことがない)
 その結果,『発言小町』には「激しく泣く」どころか「忍び泣き」や「すすり泣き」も含めて「泣く」ことをすべて「号泣」と書くレス(私が知る限り全部女性の投稿)が現れるまでになっている.

 さて週刊文春の今週号で中村うさぎが,若い連中は「嗚咽」を「吐き気に見舞われてオエッと声を立てること」という意味で使っていると書いている.
 これは初耳だったので,『発言小町』の中を探してみたら,ありましたね.

(20代後半OL 2013年5月30日投稿)
>約10ヶ月前から原因不明の吐き気・嗚咽(※嘔吐は一切なし)、喉がつまった感じ、唾液が溜まるという症状に悩まされています。

 そのうち『発言小町』には,しめやかな葬儀の最中に泣きわめいたりオエーッとゲロしそうな声をあげる女が山のようにでてくるであろう.
 シュールな世の中である.

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