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2008年3月 2日 (日)

いちご珈琲

 今日の『天声人語』から少し引用する.
《〈好きなもの イチゴ珈琲(コーヒー)花美人 懐手(ふところで)して宇宙見物〉と言ったのは物理学の寺田寅彦》
 ふと疑問に思ったのは,この寺田寅彦の歌を普通に読むと,
 好きなもの イチゴ 珈琲 花 美人 懐手して宇宙見物
だとばかり思っていたが,この読み方でいいのか?ということ.
 あるブログによれば,この歌は寺田寅彦がローマ字で書いて研究室の壁に貼ってあったものだという.その紙を見れば一目瞭然のはずであるが,ウェブで調べた限りでは不明であった.そこで読点の入れ場所を三つに場合分けして推理してみる.
(1) イチゴ珈琲 花 美人
(2) イチゴ珈琲 花美人
(3) イチゴ 珈琲 花美人
 寅彦の歌を引用しているサイトやブログを閲覧すると,「イチゴ 珈琲 花 美人」の他に,この三つとも出てくるのである.

 まず「イチゴ珈琲」は存在するかという問題.
 あるのだね,これが.
 コーヒーの通販サイトに《厳選したコーヒー豆をていねいにローストし、甘い苺の香りをブレンドしたフレーバーコーヒーです》とある.香料でイチゴの香りを付けたもののようだ.
 コーヒー店にもあるようだ.《どうせなら変わった物を注文しました。なんとおいしいじゃあないですか? イチゴのシロップをドリップの紙に入れその上に珈琲豆をいれ普通にドリップするそうです。ミルクの方は、その上に生クリーム いちごジャムを乗せると出来上がり!》
 だがしかし 『コーヒー哲学序説』を読んでみると,寅彦は「自分は通ではない」と断っているが,やはり格調高いコーヒーを好んだように思われるのである.従って,実際にあろうがなかろうが,そしてすごくおいしいものであったとしても,却下する.文句あるか.ありません.よしよし.
 次は「花美人」だ.
 なんとなく植物の通称のようであるし,冒頭に紹介したブログは「花 美人」ではなく「花美人」と書いているので,ウェブを検索してみた.すべて閲覧したわけではないが,少なくとも上位には植物名は出てこない.見つかったのは温泉旅館の名だとか,その他の勝手な造語の類であった.それ故この「花美人」を,歌に詠みこむほどの成熟した言葉とするのは問題があると私は思う.

 「イチゴ珈琲」が却下で,「花美人」はいかがなものかと思われるので,結果,やはり推理としても「イチゴ 珈琲 花 美人」がよいように思う.寅彦が壁に貼った歌をそのままに表記したものはないものか.

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