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2008年2月 7日 (木)

燻蒸説

 昨日の朝日新聞《asahi.com 2008年2月6日 16:49》が次のように報じた.

《中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、5日に河北省石家荘市にある天洋食品の工場を見学した日本政府調査団のメンバーが6日未明、「工場では袋の燻蒸(くんじょう)はしておらず、燻蒸に使われている薬剤も問題になっている殺虫剤ではなかった」と語り、農薬混入の可能性の一つとなっていた「燻蒸説」に否定的な見方を示した。
 このメンバーは燻蒸に使われた薬剤名は明かさなかったが、「毒性は強くない」と話した。》

 おいおい,である.《袋の燻蒸(くんじょう)はしておらず》に,我が国の食品衛生技術者は皆腰を抜かしたと思う.メタミドホス混入原因として日本政府調査団は包装資材の燻蒸なんぞを考えていたのかよ,と.いくら中国が食品の安全に関してむちゃくちゃな国だとしても,包装容器(袋)をメタミドホスで燻蒸するわけがないではないか.
 また《燻蒸に使われている薬剤も問題になっている殺虫剤ではなかった》の部分は,その前で《袋の燻蒸(くんじょう)はしておらず》と書いてあるのに《燻蒸に使われている》ってどういうこと?と読者にとって理解しにくいが,これは朝日の記者が,自分が何を書いているか理解していないからである.
 《燻蒸に使われている薬剤》は,おそらく包装資材を置いてある倉庫内部の防虫処置のことを指している.
 通常,食品工場における防虫のために薬剤を室内空中散布する場合,人に対する毒性がずっと低いピレスロイド系(有機化学的な意味でのピレスロイド以外のものも含む)の薬剤が使用される.これは人が吸入すると刺激性はあるが,かなり安全である.またこの程度の薬剤でも,適当なインターバルをおいて使うことで十分な効果をあげることができる.《このメンバーは燻蒸に使われた薬剤名は明かさなかったが、「毒性は強くない」と話した》というのが,そのことである.
 調査団は,出かける前にイカリ消毒とかアース環境サービスとか,この分野に詳しい専門家の意見を聞かずに中国に行ったとみえる.相談すればただちに「燻蒸説」は否定されたはずだ.間抜けな話である.
 この調査団が何の成果も出さずに帰ってきたことを,中国側は天洋食品に問題がなかったことを示すものだと発表した《asahi.com 2008年2月7日 6:59》.

《中国の国営メディアである中央テレビが6日、全国ニュースで中国製冷凍ギョーザ中毒事件を初めて詳報した。「日本側調査団は製造元の工場を視察し、管理や衛生面で問題がなかったと発表した」というもので、調査団による5日の天洋食品の視察が安全性にお墨付きを与える格好になった》

 中国国家品質監督検査検疫総局の魏伝忠副総局長は6日,日本人による犯行を示唆したという.中国公安が毒物混入犯人を検挙することができれば,今後も天洋食品製品の我が国への輸入継続はあり得るだろうが,日本人による犯行だと言われては,我が国の企業はもう天洋食品製品を買うことはないだろう.愚かな姿勢という他ない.

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