情報弱者は極右政党の出現を待ち望んでいる
日経《参院選比例投票先に自民18%、参政伸長8% 共同通信世論調査》[掲載日 2025年7月6日] から下に引用する.
《共同通信社は5、6両日、参院選の有権者動向を探る全国電話世論調査(第2回トレンド調査)を実施した。比例代表の投票先は自民党が18.2%で、6月28、29両日の前回調査(17.9%)から横ばいだった。参政党は2.3ポイント伸ばして8.1%で2位に浮上し、国民民主党6.8%(6.4%)、立憲民主党6.6%(9.8%)を上回った。》
ヨーロッパの幾つかの国で極右政党が力を増している.
参政党の躍進もそれと軌を一にするものと考えられる.
軌とは「民主主義の崩壊」である.
それは参政党の政策に色濃く表されている.
参政党の政策から,他党に無い独自のものを以下に列挙する.
・神話教育の構築と愛郷心,愛国心の育成 (当ブログ筆者による註:日本神話は物語に過ぎない.これを教育の場に持ち込めば戦前から敗戦まで行われた神道教育となる)
・欧米の道徳的価値観から日本古来の道徳的価値観へ (当ブログ筆者による註:「自由平等博愛」から「忠孝」へ)
・日本思想の重視 (当ブログ筆者による註:詳細不明だが日本独自の思想といえば皇国史観だ)
・出産を担う女性を重視
・反ワクチン (当ブログ筆者による註:これはアメリカのトランプ政権と同様の反科学主義である)
・世界最長の正統な皇統を維持する (当ブログ筆者による註:「万世一系」という戦前の擬制をソフトに言い換えたものである)
・象徴天皇制の廃止と天皇の元首化 (自民党の改憲派でもこんなことは言わない)
戦後の保守党が捨て去った戦前の国家神道イデオロギーを今になって堂々と持ち出してきた参政党の岩盤支持層は,学校に行かずテレビを観ず新聞を読まず,もちろん政治経済および科学の専門家の見解に耳を傾けず,ただひたすらにスマホをいじるだけの二十代,三十代の情報弱者たちである.
極右政党の萌芽である参政党を叩きつぶす責任は自民党にある.彼らは自民党改憲派から派生した鬼っ子だからである.
若い人たちには意外に思われるかも知れぬが,戦後の自民党を率いた派閥領袖たちは,反戦という立場を堅持してきた.
戦争を経験した世代だからこその決意であった.
自民党重鎮たちは今こそ,戦後保守政治の何たるかを,参政党の青二才どもに教えなければならない.
無論,政党支持率で参政党の後塵を拝した国民民主党や日本共産党などは参政党を当面の主敵として参院選を戦うべきだ.
手取りを増やすとか,庶民の暮しとか,そんなことは極右政党の台頭の前には一先ず置いて,反参政党で結束すべきである.
参政党がどれだけバカかというと,彼らは天皇を元首にすると主張しているが,今上天皇がそんなことを認めるわけがないではないか.
もし極右たる参政党が政権を取り,現行憲法を廃止して天皇を元首にしたりすれば,今上天皇は必ずやこれを拒否して退位するであろう.
物事には相手というものがあるのだ.
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